2008年に10周年を迎えた日本最大のレシピ共有サイト、「クックパッド」。1998年3月のサイト開設以降、徐々に主婦層の絶大な支持を獲得し、現在では月間訪問者数350万人、月間PV2億以上を誇る。2006年9月に始まったモバイル版「モバれぴ」の月間PVも6000万を数え、1億を超えるのも時間の問題、という勢いだ。2001年時点で約1万品だった掲載レシピ数も、その後順調に増加し、2004年には10万品、現在では30万品以上となっている。
この巨大コミュニティサイトを企画、運営するのが、港区北青山にオフィスを構える、クックパッド株式会社だ。24名の社員の集うオフィスでまず目を惹くのが、調理器具や調味料等の完備された本格的なキッチン。同社のミッション--『毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす』が、ただのお題目ではないことを感じさせる職場環境だ。社員自らがクックパッド掲載のレシピを用いて毎日の食事を作るだけでなく、研修の一環として、実際に料理の講師を招き、料理教室も開催されるという。
同社は2006年から2007年にかけ、食品・料理器具メーカー向けのマーケティング支援事業に力を注ぎ、収益基盤の確立を図った。加えてサイト運営に関しても、サーバ構成の変更や、セキュリティの強化といったバックエンドの整備に注力し、基礎固めを行った。そうした比較的地味な、それでいて今後の発展には不可欠な作業が一定の目標を達成したことを踏まえ、2008年は、サービスをしっかりと成長させるフェーズへと突入する算段だ。代表執行役社長の佐野陽光氏は、2008年の同社の方針についてこう述べる。
「ここ2年間、新サービスをリリースしたい気持ちをグッと我慢して、収益基盤と運用体制の強化にほとんどのリソースを割いてきました。2008年は、ようやくものづくりに集中できる段階に入ったと考えています。その手始めとして、サービスのリリースサイクルをより短くできる開発体制の構築を目指します」
主婦向けの親しみやすいデザインのサイトだけに、意外に感じる読者もいるかも知れないが、実はクックパッドは、Ruby on Rails(オープンソースのウェブアプリケーションフレームワーク)を用いた先進的な開発体制を基礎に据える、非常に技術志向の強い企業だ。
というのも、想像してみて欲しい。同サイトのメインユーザーは、「クックパッド」を、生活を便利にするための単なる“道具”とみなしている主婦層。電子レンジやフードプロセッサーと同様、便利で快適であることのみを求める、非常にシビアなユーザーなのだ。しかもそうしたユーザーが、月に350万人も訪れる。生半可な技術力では、そうした厳しいユーザーの要求に応えられるはずがない。
「それだけに、優秀なエンジニアの採用は、弊社にとってきわめて重要で、かつ緊急のミッションですね。350万人のユーザーに満足してもらえるサイトを作るのは、プログラマー、サーバエンジニア、デザイナーにとって非常にチャレンジングな仕事ですし、それが可能な人材がそう多く存在しないことも明らかですから」(佐野氏)
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