Microsoftにとって2008年最大の事業は、ついに実現しなかった事業、つまり総額数百万ドルといわれたYahooの買収だろう。
「Microhoo」のことを除いても、2008年はこの世界最大のソフトウェアメーカーにとっては大きな1年だった。中でも最も目立った変化は6月末、Bill Gates氏が常勤のソフトウェアチーフから非常勤職に移ると同時に慈善事業に本格的に取り組むようになったことである。Gates氏は大規模な引退セレモニーのようなものは行わなかったが、1月のConsumer Electronics Show(CES)でのスピーチで自らの引退が近づいたことを認めた。
6月末で「Windows XP」の出荷が終了したが、コンシューマーの中には(またコンピュータメーカーの中にも)Windows XP販売終了を受け入れようとしない人々がいた。じきに引退することが決まっているWindows XPに対する需要に応えようと、一部のPCメーカーは一案を思いつき、XPへのダウングレード権が付属する「Windows Vista」マシンを販売することにした。
Microsoftはこの1年、Vistaに対する悪評との戦いに苦しんだ。Appleが先頭に立って行った大規模なVistaバッシングがしばらく続いた後、Microsoftはそれ自体を主題にCMを放送することを決定した。手始めに行ったのが、Jerry Seinfeld氏とBill Gates氏が登場するいささか怪しげでユーモアのある広告シリーズだったが、それはすぐに「I’m a PC」キャンペーンに切り替えられた。
その間、MicrosoftはVistaの後継OSである「Windows 7」の開発を積極的に推し進めていた。5月、Microsoftはそれまでの沈黙を破りWindowsチーフのSteven Sinofsky氏がインタビューで一部詳細を公表すると共に、D: All Things DigitalカンファレンスでWindows 7のマルチタッチインタフェースを公開した。
10月に開催されたProfessional Developers ConferenceではWindows 7についてさらに詳しく述べると共に、Ray Ozzie氏を中心とするチームが2年間取り組んできた、クラウドベースのOSである「Windows Azure」を発表した。
「Microsoft Office」関連では、ようやく「Microsoft Office Word」「Microsoft Office PowerPoint」「Microsoft Office Excel」「Microsoft Office OneNote」のウェブベースバージョンの計画を発表したことが最大のニュースである。
Microsoftも今回の景気後退と無縁ではなく、11月には雇用計画の見直しを行っていることを認めた。最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏はその後、Microsoftの雇用計画が当初計画に比べると大幅に縮小されることになると語った。
Microsoftは数人の重要人物を採用しており、12月には、Yahooの検索部門トップだったQi Lu氏を新たにオンラインチーフとして迎えると発表した。Lu氏は、6月にMicrosoftを退社してJuniper NetworksのCEOとなったKevin Johnson氏の後任となる。Lu氏が着任する一方で、aQuantiveの元CEOであるBrian McAndrews氏がMicrosoftを去ることになった。
そのほかにも2008年には、Microsoftで長年幹部を務めたJeff Raikes氏が同社を去り、Bill and Melinda Gates FoundationのCEOに就任した。また2008年には、Ask.comのCEOだったSteve Berkowitz氏など、3人の幹部が同社を退職した。
Microsoftは例年どおり数件の企業買収を行い、自然言語検索サービスのPowersetや、コンシューマー用スマートフォンのメーカーDanger、ノルウェーのFast Search & Transferを新たに傘下に加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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