パソコン業界は明るい材料もほとんどなく、まったく悲観的な状態で2008年を終えた。
Hewlett-Packard(HP)はこれまでのところ不況をうまく乗り切っているが、業界全体では、欧米のノートPC市場の飽和、IT予算の制約、および消費者マインドの悪化などさまざまな厳しい状況に直面している。
しかし、目下のところPCメーカーを支えている製品がネットブックである。
調査会社IDCによると、PC業界全体で予測される2009年における出荷台数の増加はわずか3.8%という。大手PCメーカーの売り上げの伸びは壊滅的な状況となるだろう。
この状況は予測されていたが、今や米国経済は景気後退期にあると正式に発表され、コンシューマーは消費を手控えていることを考えると、メーカーが2008年の初めによりコンパクトで安価なネットブックを盛んに宣伝し始めたのはある程度先見の明があるように思われる。
ASUSは2007年後半に「Atom」搭載のミニノートPC「Eee PC」を発売してネットブックの道を開いた。一流メーカーがすぐに後を追った。HPは教育機関市場向けの「HP Mini-Note」を発表し、Acerは「Aspire one」を発売した。間もなくMSIやSylvaniaといった中小メーカー、およびサムスン電子のような従来ノートPCを製造していなかったエレクトロニクス企業が追随した。
Dellは公開数カ月前から噂され、インターネット上に情報が漏れていたが、「Dell Inspiron Mini 9」、次いで「Dell Inspiron Mini 12」を発表し、ついに勢いのあるネットブック市場に参入した。
特にAcerとASUSはネットブックの時流に乗ったことで利益を上げた。ASUSは引き続きネットブック市場をリードし、AcerはミニノートPCによりブランド確立の点で大きく前進した。台湾のパソコンメーカーであるAcerは、積極的な価格攻勢をかけ、ブロードバンドモバイルサービスとセットでAspire oneを提供することで、欧州でのネットブック市場を開拓し大成功した。
加えてAcerは、正式にGatewayを統合し、欧州で有名なブランドPackard Bellの買収をついに完了した。この結果Acerは、ライバルである中国のLenovoを抜いて業界第3位に躍り出た。これによりLenovoは業界第4位のパソコンメーカーとなった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」