業績好調でシャープがハイテクのけん引役に

 先週後半にかけて日経平均株価が1万5000円台を回復してくるなど、株式相場はようやく回復の兆しをみせはじめている。復調の要因となっているのが、主力ハイテク企業の2007年3月期の第1四半期(2006年4〜6月)決算が軒並み従来予想を上回る好結果となり、今後の業績上方修正への期待感が膨らんできたためだ。

 これまで売り越し基調を継続していた外国人投資家も、日本企業の業績堅調ぶりを見直しはじめ買い越しに転じてきた。こうしたなかで、主力ハイテク株のけん引役として株価の反転上昇に期待感が高まっているのがシャープだ。

 シャープが7月25日に発表した2006年4〜6月期の連結営業利益は404億円(前年同期比13%増)、純利益も238億円(同23%増)となった。また、売上高も、6937億円(同13%増)と2ケタの増加をみせた。大型の液晶カラーテレビや携帯電話端末の販売好調が寄与した。第1四半期の決算としては、売上高、利益とも過去最高を達成した。

 液晶カラーテレビは、販売台数が大型モデル中心に伸びて前年同期比50%増の112万台(このうち30インチ以上の比率が前年同期の32%から45%に上昇)、販売高が同40%増の1175億円となった。同一サイズの製品価格は前年同期に比べると30%程度下落しているものの、より付加価値の高い大型サイズの比率を高めることにより売上高の大幅な伸びを確保することに成功している。

 携帯電話機では、地上デジタル放送に対応したワンセグ機種などハイエンドの高付加価値端末が国内向け中心に伸びたことが寄与した。販売台数は347万台(前年同期比22%増)、国内外の内訳は国内224.4万台、海外122.6万台となった。売上高は1316億円(前年同期比24%増)となった。携帯電話機は販売台数、金額ともに四半期ベースで過去最高を記録した。

 ただ、液晶パネルの売上高は2317億円(前年同期比33%増)となったものの、営業利益面では、161億円(同23%増)と、大型サイズの比率を高めたものの、同サイズべースでの販売価格の低下を完全に補うことはできなかった。同社の大西徹夫取締役は、第1四半期の業績について「売上高、各利益ともに2桁成長を達成し、通期計画の達成に向けて順調なスタートとなった」としている。

 外国証券のアナリストは「今秋からの亀山第2工場稼働による液晶パネルの歩止まり向上に伴う採算の改善、液晶テレビ・パネルの在庫が予想より低水準にあること、携帯電話の需要が根強いことなどから通期の業績は上方修正される可能性が濃厚」としている。

 同社は、2007年3月期通期業績見通しを据え置いた。売上高は3兆円(前期比7.3%増)、営業利益は1800億円(同10%増)、経常利益1700億円(同13%増)、純利益1000億円(同12.8%増)と見込んでいる。

 同社の株価は4月7日に2145円の高値をつけたあと、全体相場の反落に連動するかたちで調整を強いられ6月14日には1571円まで下落し一番底をつけ、その後いったん上昇に転じたものの、7月19日には1653円まで売り込まれ二番底を形成した。その後は反発に転じ、7月25日の決算発表を挟んで上昇し、先週末の7月28日には1900円台に乗せてきた。しかし、先週末の連結ベースでのPERは21倍台と割高感はない。当面は2000円台回復に期待がかかり、中期的には、1月30日につけた年初来高値2185円乗せにトライすることも想定できそうだ。

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