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プロジェクトマネージャーがつい見落としがちなことって何だろう?

2003/05/20 10:00
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ガイドの視点

 Mochal 氏の記事を紹介して、今回で3回目となる。理想論を並べ立て「失敗は許されない、綿密な計画を立てろ」と結論づける学者も多いが、彼がプロジェクトマネージャーに示唆する方法論は非常に実践的だ。彼の一貫したスタンスは「プロジェクトは流動的だ」というもの。「スコープを変えないようにするにはどうするか」よりも「うまくスコープを変えるにはどうするか」、「作業が遅れないようにするにはどうするか」よりも「個々の作業は遅れるだろうが、全体が遅れないためにはどうするか」という点に着目しているのがおもしろい。

 そのMochal氏が今回取り上げるのは、プロジェクトの進捗管理である。

 どんなプロジェクトでも、作業の進捗度合いを把握するために、進捗報告書を管理し、進捗会議を開く。そこでは作業の進捗度合いを「パーセント」で報告するのが普通だ。詳細設計工程があと少しで終わりそうだから「90%完了」など、誰もが書いたことがある数字だと思う。Mochel氏はこの「パーセント」を槍玉にあげる。自分の担当分が遅れ気味の時に、冷静かつ正確に「パーセント」で進捗度合いを表現できるだろうか?あなたが完璧なエンジニアなら、正確なパーセンテージを提示できるだろうが、誰もが完璧というわけではない。進捗が思わしくないとわかっていても、ちょっと色を付けて報告してしまう。このような経験は誰にでもあるはずだ。こうしてみると、報告書に書いてある「パーセント」が、いかに主観的な物であるかに気付くと思う。

 4カ月かかるプロジェクトの3カ月目で、進捗率「75%」と報告を受けて安心していては駄目だ。かといって、「本当に75%なのか?」と会議の席上で追求しても無駄だろう。「いいえ実は・・・」と答えるメンバーなどいるわけがない。本当に75%進行しているのかもしれない。そうでなければ、担当者は75%と誤認しているか、ちょっと(あるいは大幅に)数字を誤魔化して、残りの1カ月で遅れを取り戻せると確信しているかのどちらかだ。いずれにせよ、4カ月が経過してみないと真実はわからない。作業単位が大きすぎるから、このような問題が起きる。Mochel氏は1週間から2週間程度の作業単位を推奨している。そうすれば、早めに作業計画を見直すことができるようになる。

 今回の彼の主張は、「作業計画は頻繁に見直す。また、見直せるような仕事の進め方をする」ということだ。プロジェクトが計画通りに進まないのは当たり前、見直すためのオプションを用意しておこう。前回紹介した、Mochel氏の記事「突然プロジェクトを頓挫させてしまうものは?」も併せて読んで頂ければ、彼の哲学をより深く理解できること思う。

監訳者(若田部)
このコーナーでは米国TechRepublicから日本企業のITマネジメントに役立つ情報を日本人ガイドが厳選してご紹介しています。

 どんなプロジェクトでも、初期の段階では、プロジェクトマネージャーがこれから取りかかろうとするプロジェクトを注意深く定義し、その計画を立てなく てはならない。そして、この作業を終えると出来上がるのが、 プロジェクト定義書だ(「プロジェクト憲章」という言い方をされることもある)。また、プロジェクトの計画立案のほうは、プロジェクト作業計画という 書類にまとめられる。この作業計画こそ重要なツールで、それがないとプロジェクトマネージャー自身も、そしてチームのメンバーも、プロジェクトを完了させるために何をする必要があるのかが判らなくなってしまう。さらに、いったん出来上がった作業計画でも、時々確認せずに放置しておいたら、当初の計画から逸脱してしまう恐れもある。そして、このことがプロジェクトの失敗を招くつまづきとなり得る。今回は、効果的に作業計画を管理し、よくある失敗の原因を回避するためのやり方について説明する。

警告の赤ランプ

 いったん作業計画ができあがったら、今度はプロジェクトの規模に応じて、次の打つ手を考えよう。小規模プロジェクトの作業計画なら、それほど形式張ったものでなくても作れてしまう。反対に、大規模なプロジェクトの場合には、以前に手がけた同類のプロジェクトでつくった作業計画を元に、新しい作業計画を立てるか、あるいWBS(Work Breakdown Structure: 作業内容分解)テクニックを使って、まったくゼロから計画するのが普通だ。WBSは、手がけるプロジェクトをまず高度な視点から眺め、次にそれをより小さな断片にまで分解して、すべての作業の中身やその分量をすっかり把握できるようにするテクニックを指す。

 このWBSまで済ませれば、それで作業計画はお仕舞いと考えてしまうプロジェクトマネージャーがなんと多いことか。だが、いったんつくった作業計画をその後も更新することを忘れてはならない。もしそれを怠ると、プロジェクト全体の成否に関わることになりかねないからだ。次にあげるのは、そんな、更新がおろそかになっていることを示す具体的なサインだ。

  • プロジェクトを完成させるまでに、どんな作業が残っているかを、プロジェクトマネージャーが正確に答えられない。
  • プロジェクトチームが約束の納期と予算を守って、プロジェクトを完了しそうかどうかを、プロジェクトマネージャーがはっきりとわかっていない。
  • プロジェクトマネージャーが各種の作業のクリティカルパスを知らない。
  • チームのメンバーが、次に何をする必要があるかを(あるいは、いま何をしているべきなのかさえ)はっきりとわかっていない。

 要するに、プロジェクトマネージャーが作業計画をつくりながら、しかしその時点までの進捗状況をよく理解しておらず、また今後更にどれくらいの作業が残っているかを把握していない場合には、そのプロジェクトがトラブルに陥っているということである。こうした事態が発生すると、最も重要な作業に対し てプロジェクトチームのリソースを効率よく使うことができない。そして、ついには、チームのメンバーが納品間際になって、実はもっとやらなくてはならない作業が残っていることに気付くといったことになる。また、もっと手前の段階で仕上げておくべきことが終わっておらず、この時になって作業のやり直しをしなくてはならない箇所があることを発見するかもしれない。

作業計画を管理する上での、その他のよくあるミス

 作業計画を管理していくにあたってよく起こる問題には事欠かないが、そのなかには次のような事柄も含まれる。

  • 作業計画をたまにしか更新しない
 プロジェクトマネージャーが、作業計画を更新することはするが、ただしその間隔が空きすぎる--たとえば全体で6カ月かかるプロジェクトで、2カ月毎 にしか更新しない、といったことが時々ある。この場合の問題は、いざ正式に計画を更新しようという時には、すでにいくつかの作業の漏れがでているかもしれないということだ。それに加えて、スケジュールを超過していたり、予算をオーバーしており、さらにそれに気付くのに時間が掛かりすぎた場合は、すっかり手遅れになっていて、もはや遅れを取り戻したり、超過を吸収したりできない状態になっているかもしれない。
  • 進捗率で管理する
 どの作業にも本来なら締切があるはずだ。作業が時間通りに終了していれば、問題はどこにもない。いっぽう、作業が締切までに完了していない場合には、「何パーセントまで作業が進んでいるか」と尋ねることが多い。けれど、この質問に返ってくる答えは、とても主観的なものだ。だから、もっといいのは、単純に「いつまでにその作業が終わるか」と尋ねること。プロジェクトがトラブルに陥っていないかを見極める際には、この質問で得られる答えが役に立つだろう。
  • タスクの割り振り方が大まかすぎる
 一週間の終わりまでに終わる作業をチームメンバーの誰かに割り当てれば、その週の終わりには作業が順調に進んだかどうかがわかる。けれども、四週間後まで終わりにする必要のない作業となると、万一遅れが生じても、随分後になるまでその遅れに気付けなくなる。たしかに、作業を割り当てられたメンバーは「25パーセントまで終わった」とか「50パーセント完了」と答えはするだろう。だが、これはとても主観的な答えである。

 プロジェクトが予定通りに進んでいるかが確実にわかるのは、実際に四週間で作業が終わった、その時だけだ。そして、これだと随分長い間進捗度のはっきりしない期間が続いてしまう。一般的には、大規模なプロジェクトの場合、作業の単位を二週間かそれ以下になるようにすること。また小規模なものであれば、一週間のほうがいいかもしれない。こうしておけば、万一スケジュールに遅れるようなことがあっても、すぐにそうと判る。

プロジェクトを軌道に戻すには?

 できることなら、作業計画が使い物にならないほど古くなり、そしてプロジェクトの進捗がどうなっているのかを正確につかんでいないというような状況には陥りたくない。だが、現実にそんな状態になってしまったら、その時まずやるべきことは、一歩後ろに下がって、作業計画を改めて更新してみることだ。そのためには次のようなことをする必要がある。

  • 現在までに終了した作業全てを確認する。
  • 進行中の作業がどれかを知り、各作業がいつ終わるのかを理解する。
  • チームメンバーと一緒になって、残りの作業全部を洗い出し、それを終えるのに必要な手間も見積もり直す。手持ちの作業計画をとっかかりにすることは可能だが、しかしプロジェクト完了までに必要な残りの作業全部を、改めて確認しなくてはならない。
  • 約束通りの予算と納期を守れるかどうかを判断する。もしできそうにないなら、クライアントに掛け合って、期待を外さないようにプロジェクトを完了するための方法について相談してみよう。もしそれも不可能となれば、その際には新たに立て直した作業計画にもとづいて、クライアントの期待を改めさせる必要がある。

 作業計画を更新する必要に気付いた時には、すでにプロジェクトが困難な状態に陥っていたということもよくある。その時点で作業計画を更新しても、自分たちがどれほど困った立場に置かれているかを思い知らされるだけだ。それならば、定期的に更新しておくほうが、少々面倒でもずっといい。毎週更新ならベストだが、大規模なプロジェクトではおそらく隔週ごとの更新でも問題ないはずだ。

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