「iPhone」の登場以来がぜん注目を集め始めたスマートフォン。それまでスマートフォンと言えば「Windows Mobile」という時代が長く、一部のファンから圧倒的な支持を受けていたが、一般ユーザーへはなかなか広がらなかった。
そこへ黒船のようにiPhoneが日本に上陸。コンシューマー向けミュージックプレーヤー「iPod touch」と同じインターフェースを採用し、使いやすい端末にすることで一気にユーザーを拡大した。スタイラスペンを使わずに指でできる操作は、誰にとっても分かりやすい。このiPhoneの快進撃をケータイ業界が黙ってみているわけもなく、着々と新端末の開発が進められていた。
そして登場したOSが「Android」だ。検索サービスの提供からスタートした米Googleが開発したプラットフォームで、PC、携帯電話を問わず利用できる。オープンな開発環境のため、多くのメーカーが採用に踏み切りラインアップも拡充中。しかも、端末ごとにオリジナルの“味付け”がしやすく、個性豊かな製品が登場してきている。
一方で押され気味だった、Windows Mobileも息を吹き返し始めた。一般ユーザーに使いにくいとされていたインターフェースは、各メーカーがオリジナルのインターフェースを提供し、操作感が格段に向上。各キャリアから新たな端末が登場したことで、人気は一般ユーザーにも広がりを見せようとしている。
このように、次の時代に向けて新たな主導権争いを始めたスマートフォン。ここからは、スマートフォンデビューしたいというユーザーに向けて、キャリア別に注目機種を見ていこう。
2006年にHTC製のWindows Mobile端末「hTc Z」を発売するなどNTTドコモのスマートフォンの歴史は結構長い。現在でも、アメリカのビジネスマンに人気のResearch In Motion Limited製の「BlackBerry Bold」、4.1インチの大画面VGA液晶を持つ東芝製のWindows Mobile「T-01A」、日本初登場のHTC製のAndroid端末「HT-03A」と多くのスマートフォンを販売している。
このNTTドコモが新たに投入したのがソニーエリクソン製の「Xperia」だ。発売と同時に盛り上がりを見せ、iPhoneへ攻勢をかけている。
Xperiaは、NTTドコモのAndroid端末としてHT-03Aに次ぐ2機種目となる。HT-03Aは、Googleのさまざまなサービスが使えるというレベルだったのに比べ、エンターテインメント性に優れ、特に各アプリケーションの連携に力を入れている。
カメラに搭載された顔認識機能により、撮影した写真から電話帳に登録された人物を判別し、名前を表示。名前をタッチすることで、その人物への電話やメールができる。さらに音楽、動画、写真の一元管理も可能だ。たとえば音楽再生中に「Infinite」ボタンをタッチすると、そのアーティストに関連するほかのアルバムやYouTube上のミュージックビデオ、ウェブ検索結果を表示してくれる。
Android端末向け専用アプリはGoogleが「Androidマーケット」で提供しているが、NTTドコモでも独自に「ドコモマーケット」を展開。おすすめアプリに加え、ニュースや動画など、ドコモオリジナルのコンテンツが手に入る。
満を持して投入したXperia。今となっては1世代前となるAndroid OS 1.6を搭載しているが、それを感じさせない魅力的なサービスが詰め込まれた端末となっている。
スマートフォンでは他社から遅れをとっていたKDDI。それまでスマートフォンは、ビジネス向けにしか用意していなかったが、ここに来て方向転換し、2機種を発表した。
それがシャープ製Android端末「IS01」と、東芝製のWindows Mobile端末「IS02」だ。さらに、今後ラインアップを拡充することも公表している。
IS01は、Android端末の中では意欲的な製品だ。ハードウェアとしてQWERTYフルキーボードを搭載するほか、OS自体はマルチタッチに対応していないAndroid OS 1.6にも関わらず、2本の指を使った操作を実現している。このあたりは、Linux、Windows Mobileなどさまざまな種類のOSを手がけてきたノウハウを持つシャープならではといえる。ユーザーインターフェースも独自のものを搭載。指だけでなく、トラックボールを使うことで細かな操作も可能にしている。
専用アプリでは、iPhoneで人気の「セカイカメラ」を提供。さらにau独自サービスの「au one ナビウォーク」が利用できるほか、9月下旬以降のアップデートでエンターテインメントサービス「LISMO!」にも対応する。また、「au one Market」を展開し、au独自のコンテンツも配信するなど力の入れようは今までにないくらいだ。
IS02はほかのキャリアからも提供されている東芝製スマートフォンをau向けに改良、進化させたものと思っていい。後発であるため、操作性がさらによくなっている。このようにauでは、Android、Windows Phoneの両方を提供することで、選択肢を広げている。
auではIS01、IS02を2台目需要を狙う端末として投入。専用の料金体系を用意することで、2台目として利用しやすくしているのだ。
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