9月7日、東京青山の機械産業記念館(TEPIAホール)にて企業向けのモバイルサービスに焦点を絞った展示会「MCPCモバイルソリューションフェア2007」が開催され、マイクロソフトの代表執行役兼COOである樋口泰行氏が「マイクロソフトのモバイル戦略」というテーマで基調講演を行った。
まず、電車の中やプラットホームで多くの人が携帯電話に向かって文字を打ち込んでいる光景について「そこでやりとりされている文字の、何%がビジネス関連でしょうか。たぶん10%以下、もしかしたら1%もないかもしれません」と、日本ではビジネスシーンでのモバイル活用が遅れていることを指摘。逆にデジタルワークスタイルが広まることにより、ホワイトカラーが時間や空間の制約から解放される余地が非常に大きいことを述べた。
このようなデジタルワークスタイルを実現するのは、ノートPCでも携帯電話でもなく、双方の機能を高度に合体させたスマートフォンであり、Windows Mobileが鍵となるという。
2005年、日本ではじめてWindows Mobileを採用したスマートフォンとして、ウィルコムのW-ZERO3が登場した。翌2006年にはNTTドコモ、ソフトバンクモバイルがWindows Mobileを採用。2007年にはさらにイー・モバイルが加わるなど、日本でもスマートフォン端末の種類が増えている。ワールドワイドでは55カ国115の通信事業者がWindows Mobile端末を採用しており、端末の種類は140機種以上、年間出荷台数は1000万台を突破しているという。
Windows Mobileは、それ単体でスケジュール管理やウェブブラウジング、メールの読み書き、Office文書の読み書きなど、さまざまな機能を実現している。さらにサーバと連携することにより、いつでもどこでもメールアクセスが可能になるとともに、高度なセキュリティを実現できる。
「あるユーザー企業では業務時間の25%がメール処理に費やされていました。PCからしかメールが読み書きできないと、いちいちオフィスのPCの前に戻らないと処理できず、大変な時間の無駄となります。Windows Mobile端末を導入すれば、その場でメール処理ができるので、迅速なレスポンスが可能になるとともに、無駄な時間を削減できました」と、意思決定のスピード化を実現した事例を紹介した。
また、日本でスマートフォンの導入が遅れている原因として、端末からの個人情報、企業情報漏洩の危険性がクローズアップされている現状があるという。Windows Mobileであれば、端末のパスワード入力を一定回数間違えた時には端末の内部情報を削除し、工場出荷状態に戻してしまうローカルワイプ機能、Exchange Serverからのコマンドで内部情報を削除するリモートワイプ機能など、セキュリティ機能も充実していることを強調した。
続いて登壇したモバイル&エンベデッドデバイス本部長の梅田成二氏は、近日発売となるSoftBankのX02HTを使い、Windows Mobileの機能をデモ。ローカルワイプ機能を実行したり、縮小表示でExcelワークシートの全体を表示したり、PowerPointプレゼンテーションでアニメーションが再現するなど、PCとの高い互換性を示した。
またC++やC#、VB .netを使うことで、従来のWindows用アプリケーションを容易にWindows Mobile用に移植でき、開発が容易であること、Windows MobileソリューションカタログやWeb Partnerソリューション、Windows Mobileコンシェルジュなど、パートナー企業向けに導入や開発、サポートなどの情報を提供する体制を用意していることを紹介した。
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