Microsoftは、新たに発売した音楽プレーヤー「Zune」が「iPod」を打ち負かすとまでは考えていないが、少なくとも音楽業界における同社の存在感は増すと期待しているようだ。
Microsoftが250ドルで米国時間11月14日から販売を始めたZuneは、同社初の音楽プレーヤーであり、Apple Computerの勢力をそぐために長年にわたって仕掛けてきた戦略の最新の成果でもある。これまでは多くのパートナーを介して、Appleとの戦いを繰り広げてきたMicrosoftだが、今回は同社との直接対決に踏み切った。
MicrosoftのZune担当製品管理ディレクターScott Erickson氏は、「このたびのリリースは、ひとえに土台作りのためだ」と話している。Erickson氏は、年末商戦期に見込んでいるZuneの販売台数については詳細を明かさなかったが、同デバイスの購入希望者が確実に現物を入手できるよう、十分な数を生産するつもりだと語った。
IDCのアナリストSusan Kevorkian氏は、MicrosoftはZuneの外観に力を入れたが、同デバイスに内蔵されている無線接続機能や、大型のカラー画面などについてはうまく活用できていないと指摘した。
「第1世代のZuneは、着飾るだけは着飾ったが出かける場所がないといった雰囲気だ」と、Kevorkian氏は述べた。Zuneに欠けている重要な要素の中でも、楽曲や映像を購入して個人的に視聴することがまったくできないのは不利だという。
当のMicrosoftは、意図的に単純性を追求してきたように見える。Zuneは、まずは米国内でのみ販売が開始された。だが、かつてのパートナーであるiRiverやCreative Labsが提供しているデバイスが、音声レコーダーおよびゲーム機から、デジタルビデオレコーダーの役割までを果たすのに引き替え、Zuneには、外付けハードドライブとしての利用といった基本的な機能さえ実装されていない。
Microsoftは、ディスクモードのような基本的な機能であっても、デバイスを複雑化させる原因になると主張している。例えば、実際に再生できる音楽と、ディスクモード時にファイルとして本体に保管しただけの音楽を混同するユーザーは多いという。Zuneにアイテムを移す唯一の手段をZuneソフトウェアの利用に限ることで、Microsoftはこうした混乱を回避したいと考えている。
Erickson氏は、Zuneの初代機にはごく少数の機能しか搭載しなかったが、ソフトウェアアップデートを通してすぐに新要素を追加していくことができると述べた。追加要素リストの一番手は、「Windows Vista」との互換性を確保するアップデートだ。
Erickson氏は、11月末に大企業へVistaを出荷する前にはそうしたアップデートを配布する予定はないが、消費者向けの販売を始める2007年1月末までには十分あり得ることだと話している。
そのほか近い将来に提供されると思われる機能には、ポッドキャストのサポートや、Zune上で簡単に映像を視聴できるようにする機能などがある。デバイスに内蔵されているWi-Fi接続を利用する新たな方法といった要素は、配布されるまでに時間がかかると思われる。現在は、近くにいるZuneユーザーに音楽やその他のコンテンツを送信するという目的のためだけに、無線接続が使用されている状態だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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