サンフランシスコ発--携帯電話市場への参入を試みるIntelが投入した最新のプロセッサは、いまのところ、BlackBerry対応電話機とネットワーク対応の自動販売機にしか採用されていない。
Intelは、アプリケーションプロセッサと携帯電話モデムを組み合わせた製品の第2弾として「Hermon」を発表したが、このチップは携帯電話市場へのデビューを華々しく飾れなかった「Manitoba」の悲劇を忘れさせる製品のはずだった。
Intelは、UMTS(Universal Mobile Telecommunications Service)版のHermonを2005年末までに発売すると約束していた。しかし、11月にリリースされた「BlackBerry 8700c」は、速度で劣るCingularのEDGE(Enhanced Data GSM Environment)ネットワークに対応するものだった。また、Hermonを採用する3G事業者は、Hermonベースのモジュールを使って自動販売機での支払いをワイヤレスで記録するNTTドコモ1社だけだ。
IntelのDavid Rogers氏(ハンドヘルド・プラットフォームグループ、マーケティングマネージャ)は、今週当地で開催された「Intel Developer Forum」でのインタビューで、2005年は「Hermonに関してはあまり話題がなかった」と語った。チップをオーバーホールしても1機種にしか採用されなかったManitobaが失敗してからは、Intelは新たな携帯電話市場参入発表についてかなり慎重な構えを見せてきていた。
Manitobaは、PC市場に成長の余地が乏しいことから、ブームに沸き立つ携帯電話/スマートフォン市場でのチャンス獲得を目指して考え出されたものだった。しかし、携帯電話用通信チップの開発はIntelにとって全く勝手の違う分野で、同社の前にはTexas Instruments(TI)や、Motorolaから独立したFreescale Semiconductorなど、強力なライバルが立ちはだかっている。
Intelのある幹部は、同社が昨年9月に通信業界のイベント「CTIA」でBlackBerry 8700cを発表した後、2005年末までにUMTS版Hermon搭載携帯端末を市場に投入する計画であることを明らかにしていた。Intel関係者によると、この携帯電話は存在しているものの、それを流通させる携帯電話会社が見つかっていないという。
ただし、2006年半ばには別の携帯電話端末も登場するはずだとRogers氏は述べた。
一方、IntelはNTTドコモと協力し、携帯電話で自動販売機やタクシーなどの料金を支払えるようにするモジュールを開発してきた。これらのモジュールはHermonチップを採用しており、NTTのネットワーク経由で支払データを請求サーバに送信している。
「将来に向けて優位に立てるよう、堅牢で優れたデザインの確立に注力している」(Rogers氏)
Intelは、携帯電話へのXScaleアプリケーションプロセッサ搭載で大成功を収めてきたが、携帯端末メーカーや各携帯電話会社は、アプリケーションプロセッサと携帯電話モデムを組み合わせたHermonやManitobaなどのチップ採用を見送ってきている。
Intelは今週、自社のアプリケーションプロセッサに関する良いニュースを発表していた。それによると同社の次世代XScaleアプリケーションプロセッサ「Monahans」(開発コード名)は携帯電話会社や携帯端末メーカーに向けて、すでにサンプルが出荷になっているという。MonahansはIntelのPC用チップに搭載されているマルチメディア拡張や省電力技術をサポートしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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