ゲームメーカー各社では、開発費が急増し、開発チームの規模も映画製作会社のそれに匹敵するほどにまで拡大している。この傾向から逃れるには、プレイヤーたちにもゲーム作りに協力してもらう以外に方法はない。2人のゲームクリエーターは米国時間2月2日に行った講演で、そのように語った。
「Sims」シリーズの開発者Will Wrightと、MicrosoftのXboxチームを率いるJ. Allardは、ロサンゼルスで開催されている「THE entertainment gathering」カンファレンスで講演し、最大規模のゲームのコンテンツ制作においてプレイヤーたちの果たす役割が大きくなっていると述べた。
Wrightの最新ゲーム「Spore」では、舞台となる架空の惑星に生息する動物や、そこに存在する都市は全て別のゲームプレイヤーが創作したものになるという。またAllardによると、Xboxでは、プレイヤーがゲームの世界に様々な要素を追加して、それをXboxの店舗システムを通じて販売できるようにしたいと考えており、こうしたゲームを作るように開発者を奨励していくのだという。
Microsoftのバイスプレジデントを務めるAllardは、「(ゲームは)主人公がストーリー作りをコントロールできる唯一の媒体だ。次はディレクターやプロデューサーにこうした環境を提供しよう」と述べ、さらに「われわれは今後、ゲームにWikipedia型のモデルを導入していく。われわれが採用しようとしているのは、言うなれば、ゲーム界のオープンソースモデルだ」と語った。
実際、消費者はカスタマイズされたエンターテインメントに対し事実上無限の欲求を持っている。消費者は、みずからのエクスペリエンスを創造することに、時間と資金の両方を投資することに積極的だ。この傾向は、ゲーム業界だけでなく、メディア業界全体に波及しており、膨大な経済効果をもたらしている。
例えば、携帯電話で利用するオーダーメード着信音の総売上は2005年、米国だけで6億ドル以上にものぼった。ここ数年CDの売上が低迷する中、レコード会社各社は着信音市場を最も有望な市場の1つとして期待している。またテレビ局もついに、消費者はテレビ番組のオンライン配信を希望しているかもしれないと考えるようになり、テレビ番組を放送日の翌日からApple ComputerのiTunesオンラインストアで購入できるサービスを開始している。
しかし、消費者の創造力を最も強く感じとってきたのはゲーム業界だ。そして同業界は今後、どのメディアよりも先に、コンテンツ制作プロセス自体を顧客に開放していく意向だ。
従来の限界を越えたいというプレイヤーたちの強い欲求は、ほとんど全てのオンラインゲームで見られた。例えば、世界初のMMORPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game)である「Ultima Online」では、開発者が製作したストーリーがプレイヤーらによって拡張されている。具体的には、彼らは酒屋を開店してオンライン上の友人を接待したり、劇団を結成してゲームの中で「A Christmas Carol」を上演したりしている。
このような行動は、ゲームの新たなコンテンツ作りに役立つとともに、プレイヤーにゲームに対する利害関係を持たせ、彼らのゲームに対する興味をより長く持続させる効果がある。プレイヤーに毎月会費を課金するオンラインゲーム業界にとって、これは極めて重大なことだ。
Wrightの最新作Sporeもまさに、こうした傾向に乗じた作品である。このゲームは、プレイヤーが単細胞生物を複数細胞へと進化させ、最後には宇宙へと飛び出していくというもの。プレイヤーは、生物の性格やルックスを作り上げ、さらには道具作りや都市建設、惑星作りを行っていく。Sporeは現在、Electronic Artsで開発されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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