Cisco Systemsは「Fortune 1000」リストに名を連ねる大企業やISPにネットワーク機器を供給する会社として最もよく知られているが、そのCiscoが新たに家庭向けのエンターテインメント製品を携えて、家電市場に本格参入する準備を進めている。同社ではそのための新部門設立も予定している。
Ciscoのホームネットワーキングおよびコンシューマー部門であるLinksysは、2月はじめに家庭用エンターテインメント機器を取り扱う新部門の設立を正式に発表すると、同社のChris Stevensが明らかにした。Stevensは今後発表されるネットワーク・エンターテインメント事業部門でバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーに就任する予定だ。また、Linksysは2月はじめに北米市場向けの新製品を発表する計画だが、この製品は昨年夏にCiscoが買収したデンマークのKissで開発されたものである。
この買収の成果は、今月ラスベガスで開催されたConsumer Electronics Show(CES)で披露されていた。LinksysはCESで、「Kiss DP-600」というネットワーク対応のDVDプレイヤーを発表した。Kiss DP-600は、ホームネットワークを通じてインターネットに無線接続できるように設計されており、同社では3000のウェブラジオ局、オンラインの天気予報、株価アップデート、オンラインゲームなどをリビングルームに配信する予定だ。現在のところDP-600は欧州でしか入手できないが、Stevensは同様の製品が北米市場でも発売されると述べた。さらに同氏は、Linksysはいずれ、他にもネットワーク家電製品を投入する予定であると述べたが、詳細は明らかにしなかった。
「われわれがCESで発表したのは、実のところKissが欧州で展開していた戦略を拡張したもので、米国やその他の市場で計画していることを完全に示すものではない。製品の詳細を明らかにする段階には至っていないが、わが社が既存の家電製品の周辺に構築されるようなネットワークエンターテインメント製品を他にも開発する計画であることは間違いない。これらの機器をホームネットワークで接続するのが狙いだ」(Stevens)
Stevensは、Linksysの戦略は2つの主要分野において製品を開発することであると説明した。まず同部門は、802.11Wi-Fi技術を利用してPCをインターネットに接続するための無線ルータなど、家庭向けのネットワーク製品を引き続き開発していく。また、Linksysは家電製品を開発する計画だが、これらの製品は家庭のネットワークに接続され、インターネットベースのテレビや音楽、写真共有といった多様なエンターテインメントを提供するものとなる。
最初に市場に投入されるのはKissの買収で手に入れた製品だが、そのほかに、CATV用セットトップボックスのメーカー、Scientific Atlantaなど他の買収を通じて獲得した技術を使いながら開発された製品も登場する予定だ。
Ciscoは家電市場に参入することで、ソニーやSamsungといった企業と競合する可能性がなる。しかしStevensによれば、Ciscoはこれらの企業が出している既存の製品を補完するような製品も開発していくという。たとえば、 やはりCESで発表された「Wireless-G Music Bridge」という製品は、インターネット上やユーザーのコンピュータ内にある楽曲を無線接続経由でステレオシステムにストリーミング配信することが可能だ。
Ciscoはまた、同社が従来から扱ってきた家庭用ネットワーク機器の需要を牽引する手段として、家電市場を捉えている。Forrester Researchによれば、ブロードバンド接続を利用している家庭でネットワークを導入していたのは、2004年には約8.8%に過ぎなかったという。また、2005年にもこの数字が20%を超えることはないと見られている。そして、2010年になってもネットワークを導入した家庭の割合は40%に過ぎないと予想されている。
「われわれはコンピュータに詳しいユーザー以外にも、家庭用ネットワーク機器の市場を広げていかなくてはならない。ネットワーク対応のエンターテインメント機器が売れれば、それがネットワーク(機器)自体の需要を牽引することになる」(Stevens)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス