文化庁の文化審議会著作権分科会は1月12日、2006年3月期最後となる第17回分科会を開催した。法制問題小委員会で検討され、注目されていた私的録音録画補償金の見直し、いわゆる「iPod課金問題」については引き続き検討課題とすることが決定した。
分科会が小委員会に示していた私的録音録画補償金制度の論点は大きく3つ。
この私的録音録画補償金制度に関し、報告書では現状のデータを分析した上で問題の所在を次のように明らかにした。
エンドユーザーの使用する媒体が対象に指定されているMDやCD-Rでなくフラッシュメモリやハードディスクへ移行しつつあり、さらに所有ユーザーのすべてが著作物の私的録音、録画目的ではないこと、またオンラインでの有料音楽配信を利用した場合、著作権料の二重取りといった事態も起こりうるが、返金が困難なことなどを指摘している。
小委員会では「このような状況下でハードディスク内蔵型機器等を新たに指定することは必ずしも適切ではない」と判断し、「2006年以降、私的録音・録画について議論する中で、補償金制度について抜本的に見直し、その結果を踏まえ適切に検討すべき」と慎重な態度で先送りとした。
パソコン内蔵および外付けハードディスク、データ用CD-R/RWなどの汎用機器や記録媒体に関しても現在補償金制度の対象外となっており、対象に指定するべきかが検討されていた。これについても、録画、録音をしない購入者にも一律課金することから、現行の補償金制度の問題点を増幅させる結果を招きかねないとして、今後十分に検討する必要があるとされた。
以上のように問題点は先送りされたが、一方で「私的録音・録画についての抜本的な見直し」も報告書には盛り込まれている。また、補償金制度に関しても「その廃止や骨組みの見直し、さらには他の処置の導入も視野に入れ、抜本的な検討をすべき」「(私的録音・録画の検討は)2007年度中には一定の具体的結論を得るよう、迅速に実施する必要がある」と提言された。
質疑応答の際には、日本経団連産業技術委員会知的財産部会長の加藤幹之氏をはじめ複数の委員から「来期は直接の利害関係者も含めて議論すべき」という意見が聞かれた。次期委員会へはこれらの意見を含めて事務局から伝達される。
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