日本AMDは12月15日、モバイル戦略説明会を開催し、2005年1月に始動した日本における研究開発施設「AMDジャパンエンジニアリングラボ(JEL)」の活動報告と、JELの最初の成果となるモバイルプラットフォームソリューション「Yamato」プロジェクトについて解説した。
JELの中でも、最初に設立されたのは「JEL Architecture Lab」だ。ここでは、世界各国のOEMパートナーとの新製品技術交流会や、次世代モバイルマイクロプロセッサの機能スペックなどが設定されている。
また、5月に設立された「JEL Thermal・Mechanical Lab」では薄型ノートブックに向けた熱対策の研究開発が進められており、9月に設立された「JEL Power Analysis Lab」ではモバイルPCベンチマークやシステムレベルでの消費電力が解析されている。
JELが中心となって推進しているプロジェクトに「Yamato」がある。Yamatoは、モバイル製品に最適化されたプラットフォームソリューションを提供するためのプロジェクトで、リファレンスプラットフォームや回路図、レイアウト、ファームウェアをOEMメーカーなどに提案、メーカーが最終的な製品開発に至るまでの期間短縮に貢献する。同プロジェクトにて開発されているプラットフォームには、AMDのマイクロプロセッサ技術や、nVIDIAのグラフィックプロセッサおよびチップセットなどが含まれる(写真1)。
来日中の米AMD モバイルプロセッサ事業部 ディレクター Chris Cloran氏は、モバイルプラットフォームソリューションとして2006年に提供予定の仕様を公開した。それは、デュアルコア、デュアルチャネル DDR2メモリ、仮想化技術などを搭載したプロセッサに、セキュリティチップのTrusted Platform Module(TPM)1.2や、バッテリーの寿命を延長させるDisplay Cashe機能、マイクロソフトの次世代OS「Windows Vista」のサポート機能などを備えたチップセット、IEEE 802.11a、b、g、nをサポートするワイヤレス機能で構成されている。
会場では、Yamatoプロジェクトにて開発中のプラットフォームを使ったデモが披露された。デモでは、複数のビデオを同時再生し、2つのプロセッサに対する負荷が均等に分散されている様子や(写真2)、シングルコアで処理するには厳しいH.264ハイディフィニションビデオも、グラフィックカードを用意することなくUMA(Unified Memory Architecture)で再生でき、低CPU使用率にて利用可能となる様子がスクリーンに写し出された。
Cloran氏は、こうしたプラットフォーム技術のほかにも販売戦略について触れ、「コンシューマー市場での成長を維持しつつ、今後はエンタープライズ市場に注力する」と述べた。具体的には、営業体制として業界別ソリューションが提供できるような人員を配置し、モバイルのみならずデスクトップやサーバなどの製品と合わせて統合的に提案するとした。
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