富士通研究所と富士通フロンテックは9月13日、荷物の搬送や建物内の案内ができる ロボット「enon(エノン)」を共同で開発したと発表した。商業施設などに向けて同 日より販売を開始する。
enonは富士通研らが2004年9月に発表したロボット「富士通サービスロボット (FSR)」をベースに開発された(関連記事)、車輪で動く人型のロボットだ。基本機能はFSRと変 わらないが、小型軽量化して安全性を高めた。
地図情報(施設内のCADデータなど)を事前に入力しておくと、頭部に搭載したカメラで自分の位置を計測し、指 定した目標位置まで自動的に障害物をよけながら移動する。足元には超音波センサー と近距離センサーが搭載されており、1cmまでの段差であれば問題なく走行できると いう。
荷物は10kgまでのものならば胴体部分に載せて指定した位置まで運べる。専用の荷台を使え ば自動で荷物を降ろすこともできる。ただし、荷物を載せるのは人間などが行う必要 がある。また、500gまでのものならば片腕でつかんだり、手渡したりすることもでき る。なお、いずれの場合も運ぶものの形状や材質などには制限がある。
enonは胴体部分に荷物を置いて運ぶことができる。背面には操作用のディスプレイを搭載する
|
音声認識/合成機能を標準搭載しており、音声で操作可能だ。このほかタッチパネルつき液晶モニターで操作したり、情報を表示したりすることもでき る。無線LAN(IEEE 802.11a/b/g)に対応しており、情報はサーバからも取得でき る。頭部のカメラで撮影した画像をサーバに送信したり、サーバ側からロボットを遠 隔操作することも可能だ。
連続稼働時間は3時間程度。無接点充電方式を採用しており、電力が不足すると自動的に充電場所に移動する機能も備える。
両社では主に建物内の誘導や情報提供といった案内、荷物の搬送、屋内の巡回や監視 といった用途を想定している。前モデルのFSRは2004年10月から2005年3月末までNHK放送博物館で案内業務の試験運用を行ったほか、関西国際空港でも案内業務をした実 績がある。
enonの販売価格は個別見積もりとなっているが、ハードウェアのみで約600万円と なっており、このほかに地図情報などのソフトウェアが必要となる。すでに数社がenonを導入することで内定しているといい、富士通グループ内でも活用を検討してい るとのことだ。納品は11月以降となる。
enonの主な仕様は以下のとおり。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス