シアトル発--SamsungとMicrosoftは米国時間25日、アイドリング時でもデータの記録が可能なハードディスクのプロトタイプを発表した。ノートPCにこのハードディスクを搭載すれば、消費電力を大幅に削減できると両社は述べている。
このハードディスクは、1Gビットの容量を持つSamsung製OneNAND型フラッシュメモリチップを搭載しており、入力されたデータはこのチップに直接記録される。そして、このチップがほとんど一杯になった段階で、ハードディスクが起動し、データを取り込んで記録した後、またアイドル状態に戻るという仕組みになっている。
ハードディスクは通常回転し続けているため、そのモーターは液晶ディスプレーとならんで、ノートPCに使われる部品のなかでも消費電力が最も大きいとされている。
それに対し、今回発表されたハイブリッド型ハードディスクでは、ディスクはめったに回転しない。Windows Hardware Engineering Conference(WinHEC)で同日披露されたプロトタイプでは、30分毎に約30〜45秒間ディスクが回転するだけだと、Samsung SemiconductorのIvan Greenberg(ストラテジックマーケティング担当ディレクター)は述べ、同社では1時間あたりの回転時間を30〜45秒まで縮めることを目標にしていると付け加えた。
「従来のハードディスクが消費する電力量は、ノートPC全体の約10〜15パーセントを占めている」とGreenbergは述べる。そのため、バッテリーによる駆動時間が4時間のノートPCでは、ハイブリッド型ディスクを使うことで、バッテリー寿命を約36分延ばせる可能性がある。
同社はまた、このハードディスクがPCの起動時間短縮に一役買う可能性がある点も指摘した。
このハイブリッド型ハードディスクには、さまざまな点でSamsungの設計戦略が反映されている(Greenbergによると、Samsungは、Microsoftが同プロジェクトに参加する以前から、韓国でハイブリッド型ディスクの開発に取り組んでいたという)。同社は、異なる部門を頻繁に協力させることで、製品の開発コストを下げ、性能を向上させて、願わくは収益性を高めようとしている。たとえば、携帯電話分野における同社の台頭は、工業デザイナーとコンポーネントグループとの協力関係を強化した結果といえる。
Samsungは、世界最大のフラッシュメモリメーカーだが、それに比べるとハードディスク分野での役割はあまり大きくない。現在、フラッシュメモリとハードディスクの市場はどちらも価格下落で苦しんでいる。
OneNAND型のフラッシュメモリは、Samsungの比較的新しい製品ラインとして、NAND型とNOR型の特徴を一部併せ持つ製品だ。NAND型フラッシュメモリは高密度で書き込みスピードが早く、一方NOR型フラッシュメモリは歴史的に読み出し速度が早い。IntelとSpansionはNORを生産しているが、Samsungは主にNANDを生産している。同様に、IntelとSpansionは、ハイブリッド製品を計画している。
なお、このハイブリッド型ハードディスクを搭載したノートPCは、2006年後半には市場に投入される予定となっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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