かつて喫茶店の片隅に置かれていたインベーダーゲームが、立体画像で復活する日が来るかもしれない。
東芝は4月15日、机の上など水平面に置いた画面に立体画像を映し出すディスプレイを開発したと発表した。博物館などでの展示案内やアーケードゲームなどに向けて提供する。
図.ディスプレイの1辺から斜め60度の角度でディスプレイを見下ろすと立体が浮き上がって見える
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右図のように水平面に置いたディスプレイの一方向から、斜め60度ほどの角度でディスプレイを見下ろすと、特別な眼鏡をかけなくても画像が立体的に見える。これまで壁掛けなど垂直に置いたディスプレイで立体画像を表示するものは多かったが、水平方向にディスプレイを置くものは少なかった。
東芝は画像表示技術として、インテグラルイメージング方式を採用した。この方式は複数の光線を交わらせて立体画像を作り出す技術だ。
これまで立体画像を表示する技術としては、右目用と左目用に2種類の映像を表示して立体画像を表示する2眼式という方式が主流だったが、この方式では立体画像が見られる位置が1点〜数点に限られていた。インテグラルイメージング方式を利用すると、正面から左右15度ずつの範囲内であればどの位置に立っても立体画像が見られるという。
今回開発したディスプレイは24インチと15.4インチの2種類。画面の解像度は480×300画素で、同社の従来技術に比べて1.5倍に向上させたという。同社では、「テレビの地上波アナログ並みの品質の展示映像やビデオゲーム等を立体表示することが可能」と説明している。
東芝が開発した新ディスプレイ。斜め上から見ると缶やペットボトルが並んでいるように見えるが(上)、横から見ると本物の缶は1つ(下)
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ディスプレイに表示する立体画像は、16以上の方向から撮影した画像を表示用の特殊画像に合成する必要がある。東芝ではこの画像を作成するための専用プログラムを開発した。3Dモデリングツールにプラグインとして追加することが可能という。また、立体画像をグラフィックスカードのみで高速再生するミドルウェアや撮影した画像を立体表示用のフォーマットに変換する処理を行う専用回路も開発している。CGであれば静止画だけでなく、動画を立体表示することも可能とのことだ。
製品化時期は2006年後半を目指す。ディスプレイだけでなくソフトウェアを含めたソリューションとして提供する考えだ。2005年6月からは試作したディスプレイを希望する企業に貸し出し、テストをしてもらうという。事業展開としては、まずアーケードゲーム向けから手がけ、将来的には携帯電話やテレビにも搭載していきたいとしている。
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