東芝は3月29日、1分間で急速充電が可能な新型リチウムイオン電池を開発したと発表した。ハイブリッド車や携帯電話などに向け、2006年の製品化を目指す。
負極材料に、急速充電をしても有機電解液を分解しないナノ粒子を新材料として採用した。材料の詳細は明らかにしていないが、「リチウムイオン電池に一般的に利用される炭素材料ではなく、金属系の非炭素材料をナノ粒子化した」と東芝研究開発センター先端機能材料ラボラトリー室長の高見則雄氏は説明する。
現在携帯端末などに利用されているリチウムイオン電池は、高いエネルギー密度を持つ一方で充電時間が数時間かかるという特性がある。充電時間の短い電池としてはハイブリッド車などに使われている「キャパシタ」があるが、エネルギー密度が小さく小型化が難しかった。
東芝が今回開発した新型リチウムイオン電池は、従来のリチウムイオン電池並みの高いエネルギー密度をもち、1分間で電池容量の80%を充電することが可能という。充放電を1000回繰り返した後の容量低下はわずか1%といい、電池寿命が長期化できる。
負極材料に利用した物質は東芝が独自に開発したもの。ナノ粒子を均一に固定する技術を開発したことで、電極化が可能になった。材料は現在広く使われている材料ではないというが、量産が進めば製造コストは現在のリチウムイオン電池並みになるとのことだ。
記者説明会場では同社が試作したラミネート型電池を利用し、5秒間の充電で同社の携帯オーディオプレイヤー「gigabeat」を駆動させるデモが行われた。試作電池の大きさは厚さ3.8mm、高さ62mm、幅35mm、容量600mAh。同社によれば、5秒間の充電でgigabeatを10分駆動させることができるという。
同社では今後、製品化の検討を進めていく。ハイブリッド車や電力・産業向けを中心に製品化を進めていくが、将来的にはノートPCや携帯電話向けの製品も検討していくとしている。
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