ニューオーリンズ発--大ヒットとなったカメラ付き携帯電話だが、大きな問題が置き去りにされたままでは、携帯電話のカメラはいずれ、取るに足らないつまらない機能として扱われるようになってしまうと、Eastman Kodakの最高経営責任者(CEO)が発言した。
KodakのCEOであるDan Carpは米国時間14日、当地で開催中の「CTIA Wireless 2005」で基調講演を行い、「携帯電話のカメラを使って画像を撮ることは可能だ。しかし、写真として見た場合、これらは満足のいく品質ではない」と述べた。
Carpの発言は、携帯電話業界でここ2年間語られてきたサクセスストーリーに冷や水を浴びせるものだった。カメラ付き携帯電話は、米国のワイヤレスデータサービスの成長に大きく貢献している。一部のワイヤレス通信事業者は、データ通信の売上がここ2年間で倍増したと述べるほどだ。2004年は全世界で1億8000万台のカメラ付き携帯電話が販売されたが、これは2003年に比べ130%増にあたる数値だ。大部分のアナリストは、この成長が今後も続くと考えており、2005年の年末までに約2億8000万台のカメラ付き携帯電話が販売されると予想する。また、全世界に出回っているカメラ付き携帯電話の台数は、2005年の年末時点で10億台に達するだろういう予測も出ている。
Carpは、カメラ付き携帯電話について、Kodakの最初のカメラ製品に言及しながら、「モバイル・イメージングは、Brownieカメラ以来の大発明かもしれない」と述べた。
Carpは同日の基調講演で、Kodakが行った市場調査の結果を紹介した。それによると、カメラ付き携帯電話のユーザーは2004年の1年間で総計700億枚もの写真を撮影したにも関わらず、大部分のユーザーが自分の携帯電話に満足していないという。また、ユーザーの約3分の2が、携帯電話で撮影した写真をコンピュータに滅多に転送しないと回答したほか、70%が撮影した写真を別の携帯電話ユーザーに送信したことが一度もないと回答した。同氏によると、世界中の1億8000万人ものカメラ付き携帯電話ユーザーの悩みは、バッテリー寿命が短いこと、(特に昼間に撮影した場合の)写真の画質が悪いこと、印刷が面倒なことだという。
「これらは、すべて警告のサインだ。慎重に対処しないと、カメラは、携帯電話に付いているつまらない機能という扱いを受けるようになってしまう。一部の関係者は、それが既に起こっていると考えている」(Carp)
業界は問題を無視しているわけではないと、基調講演に出席した業界幹部らは述べた。多くの端末メーカーや通信事業者は、確かに問題の解決に取り組んでいる。SprintやAmerica Onlineでさえも、携帯電話で撮った写真を簡単に友人と共有したり、印刷するためのシステムを導入している。Kodakは現在、パソコンなしで撮影データを印刷できるEasyShareプリンタに、携帯電話と直接接続する機能を搭載する作業に取り組んでいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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