フランス、カンヌ発--複数の大手モバイル技術ベンダーが、未来のスマートフォンの主要ソフトウェアコンポーネントとして、Linuxが持つポテンシャルを探るための共同プロジェクトを進めている。
今週当地で開催中の3GSM World Congressで、Infineon Technologies、Samsung、そして組み込みLinux専業ベンダーのTrolltechの3社は、Linux OSベースの3Gスマートフォンを開発したと発表した。
このプロトタイプには、MontaVista SoftwareのLinuxソフトウェアが採用されている。同社は、通信機器などの各種専用機器に組み込み可能なLinuxの開発元。このプロトタイプにはテレビ電話やビデオストリーミング、ウェブブラウジング、ステレオスピーカ、Javaベースの3Dゲームなどの機能が搭載されている。
この携帯電話はUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)ネットワークのほか、これより低速のEDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)技術標準にも対応する。
このプロトタイプを商品化する計画は当面ないという3社だが、しかしスマートフォン向けのオープンなOSとしてのLinuxのポテンシャルには、携帯電話会社や携帯電話機メーカー各社から幅広い関心が集まっているという。
InfineonのHermann Eul(通信事業部担当エグゼクティブバイスプレジデント)は、「特にそのオープン性とコストの安さから、次のデザインサイクルでは、Linuxが機能面でも相当に進化し、スマートフォン市場で相当なシェアを握ることになる」と述べている。
InfineonのJurgen Paulus(製品マーケティングシニアマネジャー)も、SymbianやMicrosoftのOSと異なり、Linuxはスマートフォンの低価格化につながるとの点で意見が一致している。
「それは重要な問題の1つだが、私は実現すると思う。Symbianはモバイル関連のドライバがすべて揃いかなり安定しているが、Linuxのポテンシャルにはかなり大きな関心が集まっている」(Paulus)
Paulusは、Linux搭載携帯電話機を大きく躍進させるのは、プラットフォームに対するコントロールを強化したいと考える携帯通信事業者だと述べた。
同氏はさらに、「技術マニアがLinuxスマートフォンのアイデアに熱狂しているのは確かだが、ただし市場としてはまだ小さい」とも付け加えた。
このプロトタイプには、InfineonのUMTS/EDGEデュアルモード技術、SamsungのLinuxカーネル、そしてMontaVistaが認定するドライバなどのソフトウェアが使われている。さらに、Linuxベース携帯電話用のTrolltechのQtopiaソフトウェアや、Emuzedのオーディオ/ビデオアプリケーションも搭載されている。
Trolltechでは、モバイル市場におけるLinuxの将来について強気な見方をしている。同社が14日に3GSMで明らかにしたところでは、50社を超えるメーカーがTrolltechの組込用Linuxを採用した端末の設計/製造/出荷を進めているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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