Intelはかつて、デスクトップユーザーは当分の間64ビッド機能を必要としないだろうと述べたことがある。だが、同社は来年これらの機能をデスクトップ用チップ全般に搭載していくことにした。
同社はニューヨークで開いたアナリスト向けの説明会のなかで、2005年からデスクトップ用チップに64ビット機能を追加することを明らかにした。来年には、デスクトップ用の64ビット版Windowsも発売される予定であり、同社のスケジュールはほぼこれと重なり合うことになる。なお、64ビット機能は廉価版のCeleronシリーズにも追加されるという。
これはIntelにとって明らかな計画の前倒しを意味する。今年2月、同社幹部らは クライアントコンピュータ向けの64ビットチップ投入は、Microsoftが次期Windows「Longhorn」を発売するまでありえないだろうと発言していた。Longhornの発売は現時点で2006年末となっている。
同社最高経営責任者(CEO)のCraig Barrettはこの際、馴染みのあるIntel x86 アーキテクチャをベースとする64ビットチップが、サーバやワークステーション用に投入される時期については明らかにしたものの、近い将来に標準的なデスクトップ用に同様のチップを投入する計画は無いとしていた。
Intelの方向転換を促した要因は、ライバルであるAdvanced Micro Devices(AMD)が市場シェアを伸ばしたことにあるようだ。昨年、AMDのシェアは1%近く伸び、同社製チップの平均価格も上昇した。これは同社のチップが以前よりも高額なコンピュータに採用され始めていることを示すものだ。
Pentium 4 のような現在市場に出回っている標準的な32ビットチップは、最大でも4Gバイトのメモリしか利用できない。それに対し、64ビットチップははるかに大容量のメモリを利用できるため、同時にアクセスできるデータ量が増加することになり、それだけリアルな画像や高画質のビデオを扱えるようになる。
だが現実には、多くの消費者が4Gバイト以上のメモリを積んだコンピュータを買うようになるまでにあと何年かかかるだろう。現時点では、512MBのメモリを搭載するPCがほとんどだ。PCメーカーは一般に自社のシステムのメモリサイズを18ヶ月ごとに倍増するといわれていることから、4Gバイトのマシンが主流になるのは約4年後のことになる。
それでも、ゲーマーやPC愛好家は対応するOSやゲームが揃い次第、こうした大容量のメモリを積んだコンピュータを買うだろう。利幅が厚く、影響力も大きなこのニッチ市場を一時的にAMDに譲るくらいなら、むしろリリーススケジュールを早めたほうが得策だというのがIntelの考えのようだ。
64ビット機能を提供すれば、財布の紐の固い消費者に心の平静を与えることにもなる。チップの複雑さが増し、それに合わせて書かれたソフトウェアが増えたとしても、自らのシステムが時代遅れにならずに済むからだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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