ある企業コンソーシアムが、PCのハードディスク用インターフェースであるシリアルATAを土台にした、家電用の新しい技術を開発しようとしている。
Intel、Hitachi Global Storage Technologies(HGST)、Marvell Semiconductor、Seagate Technology、Toshiba America Information Systemsの各社は米国時間9日、サンフランシスコで開催中の「Intel Developer Forum」で、超小型ハードディスク用の新しいインターフェース「CE-ATA」の開発を提案した。超小型ハードディスクは、Apple ComputerのiPodミュージックプレイヤーなど、携帯型家電製品でデータを保存するのに使われる場合が多い。またSamsungは先ごろハードディスクを搭載した携帯電話「SPH-V5400」を発表した。
CE-ATAインターフェースは、デバイスのコスト、サイズ、消費電力といった家電製品メーカーが抱く大きな懸念に対処する新しい手段を提供するもので、小型デバイスのメーカーが、消費者向けにコンパクトでしゃれたデザインのバッテリ駆動式ハンドヘルド製品を作るのに役立つものと思われる。
今回提案された仕様は、昨年一気に普及したPC/サーバ用ハードディスク向けのシリアルATAインターフェースとコンセプト的には同じもの。つまりCE-ATAは、現在普及しているパラレルインターフェース(と、そのリボンのような平たいケーブル)を、シリアル接続(と、それに使われる小さく薄いケーブルと、ピン数の少ないコネクタ)に置き換えることをねらったものといえる。今回の発表に参加した各社は、この切り替えによって、消費電力とコストを削減できるとしている。しかし、IntelのKnut Grimsrud(CE-ATA担当主任エンジニア)は、CE-ATAは携帯端末やCE端末を考慮せずに開発されるため、必ずしもシリアルATAが実現する帯域幅に達しないこともあり得ると述べている。
携帯音楽プレイヤーでシリアルATAに近いパフォーマンスを実現するのは「オーバースペック」だとGrimsrudは語り、このコンソーシアムの目的はむしろ「家電製品や携帯型の各種の機器専用の新しいディスクインターフェースを設計すること」だと付け加えた。
調査会社Gartnerのアナリスト、John Monroeは、CE-ATAの取り組みを「優れた試み」だと呼んだ。提案された仕様では、ハードディスクのエラー訂正処理にはあまり重点がおかれない可能性もあるが、Monroeはこれについて、例えば銀行業務に使われるアプリケーションなどでは重要だが、動画の再生などではそれほど問題にならないからだと説明している。同氏はまた、業界全体で標準策定作業に取り組む方が、さまざまな企業がそれぞれ独自のインターフェースを考案するより好ましいという。同氏は記録型DVDのフォーマットを巡る争いに言及し、各社がバラバラに取り組みを進めていけば「愚かなDVD戦争」のような状態になってしまうと述べた。
CE-ATAコンソーシアムの声明によると、同インターフェースの仕様は2005年前半にも完成する見込みだという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」