カリフォルニア州パロアルト発--ソニーが今年投入する携帯型ゲーム機は複雑なプロセッサを搭載することになりそうだ。
PlayStation Portable(PSP)には、333MHzで動作するプロセッサが搭載されるが、これには統合グラフィック機能や専用のビデオコアが内蔵されるほか、サウンド機能を強化するためのリコンフィギュラブルコアや、4Mバイトのメモリも含まれると、ソニーの研究者Masanobu Okabeが、今週スタンフォード大学で開催中の「Hot Chips」カンファレンスで明らかにした。
また、PSPでは4.3インチのスクリーンが採用され、ソニーのUniversal Media Disk(UMD)標準準拠の1.8Gバイト光ディスクも再生できると同氏は述べた。
これらの機能すべてを1個のシリコンに集積することにより、消費電力と容積の両方を小さくすることができる。同プロセッサは0.8〜1.2ボルトで動作するようになる。集積度の高さはPlayStation 2チップの特徴でもある。
ソニーの経営陣は、ゲームとマルチメディア機能を組み合わせたPlayStation Portableを、「21世紀のウォークマン」として大々的に売り込んできた。PlayStation 2で家庭用ゲーム機市場をリードする同社は、まず今年中に日本でPSPを発売して携帯ゲーム機市場に参入し、その後米国でも発売を開始する予定だ。
凝った3Dを表示するゲーム端末を発売するライバルは増えている。今までは任天堂のGame Boyが最有力だったが、先ごろNokiaが携帯ゲーム機を発売したほか、Samsungもゲーム機能を持った携帯電話機をリリースする予定だ。
PSPの核となるマイクロプロセッサユニットは、MIPS R4000チップの設計をベースにしたもので、これがゲーム機を動かし内蔵する各チップコアを管理する。なお、同社のPlayStation 2やQiroロボットも、元々はSilicon Graphics Inc.がサーバ用に設計したMIPSプロセッサをベースにしたチップを搭載している。
これに対して、ソニーの次世代家庭用ゲーム機の「PlayStation 3」は、IBMのPowerチップシリーズから派生したCellプロセッサを搭載することになっている。
PSPに内蔵される4Mバイトのメモリは、そのうち半分が直接メインプロセッサに接続され、もう半分は各メディアコアにつながる(Okabe)。このようにメモリを2分して使うことが可能なのは、プロセッサが別のバスを持っているためだ。また、メインプロセッサとメモリをダイレクトに接続することで、データの流れが一定に保てると同氏は説明している。
ちなみに、ソニーが以前に行ったデモでは、8Mバイトの内蔵メモリを持つチップが使われていた。
さらに、グラフィックユニットは、グラフィカルなイメージのなかにある幾何学模様の皺をなめらかに見せるソニーの技術で強化されるとOkabeはいう。
またプロセッサに内蔵される、「Virtual Mobile Engine (VME)」というリコンフィギュラブルコアは、メインのプロセッサが負荷の状況に応じて構成を変更しながら、たとえば計算処理を割り当てたり、大きな処理能力を要する作業をさせられるようになる(Xilinxなどのメーカーからもこうした機能をもつチップが出ている)。
内蔵型グラフィックコアと同じく、VMEも166MHzで動作する。ソニーは昨年、まずNetwork Walkman製品でこのVMEコアを採用している。
グラフィックコア、VME、ビデオコアはどれも、待機時には個別に動作速度を落とせる設計になっており、その分電力消費を押さえられる。
なお、このチップは90ナノメートルの製造プロセスを利用して生産される、とOkabeは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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