小型ハードディスク(HDD)メーカーのCorniceが、新たな問題を抱え込むことになった。白熱する携帯音楽プレーヤー用のHDD市場で、シェアの拡大を目指す同社に対し、また1つ特許侵害訴訟が持ち上がったためだ。
ハードディスクメーカーのWestern Digitalは米国時間30日、自社の保有する7件の特許をCorniceが侵害したとして、同社を提訴したことを明らかにした。この1週前には、別のHDD大手メーカーSeagate Technologyが、同じくCorniceを相手取り、特許侵害訴訟を起したことを発表していた。
Western Digitalによると、同社は「CorniceがWestern Digitalの特許技術を不正使用することを阻止し、またCorniceがすでに顧客に販売した製品の特許権侵害によって生じた損害の補償」を求めているという。これに対し、Cornice関係者は同日、同社は係争中の訴訟についてはコメントしないと述べた。
直径1インチ以下のHDDは、一握りのメーカーが製造しているだけだが、Corniceはそのうちの1社である。これらのメーカーの小型HDDは、音楽プレーヤーやデジタルカメラのような製品に搭載されている。また、この分野は急速に成長中の製品カテゴリでもある。調査会社TrendFocusによると、小型HDDの販売台数は、昨年の92万3000台から、今年は約300万台まで拡大するという。
TrendFocusによれば、Corniceは昨年、同市場で28%の市場シェアを獲得したという。一方、中国を本拠地とするGS Magicstorのシェアは30%、 Apple ComputerのiPod Miniに1インチHDDを供給しているHitachi Global Storage Technologies(HGST)のシェアは42%だった。
Seagateは先ごろ、今年後半に1インチドライブを出荷すると発表していた。
Western Digitalは、いままで小型HDDには重点を置いてこなかったが、今年後半にはノートPC用の2.5インチディスクを発売する予定だ。なお、一般的なデスクトップPCは、直径3.5インチのHDDを採用している。1インチディスクについて、Western Digital関係者は、「非常に関心をもって見守っている分野だ」とコメントした。
調査会社GartnerアナリストのJohn Monroeは、小型HDD市場が今後爆発的に成長しそうなことから、この訴訟の意味合いは大きいと示唆。同氏は、今後5年間で、年間1800万台〜2500万台の小型HDDが出荷されるようになると予測している。「世界中のティーンエイジャーがHDDを搭載したMP3プレーヤーを欲しがるようになる」(Monroe)
HDDメーカー各社は、過去10年にわたり、概ね知的財産をめぐる訴訟を避けてきたとMonroeはいう。しかし、既存のHDDメーカー各社がこれまで研究開発に注ぎ込んできた莫大な資金を考え合わせると、Corniceは今後も訴訟に直面することになると、同氏は予想しており、Corniceはこうした訴訟で勝利することが可能かもしれないが、しかし同社にとって同時に2社以上を相手に戦うことは簡単ではないだろうと述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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