ロサンゼルス発--米国陸軍は今、ゲームの得意な人を求めている。
米陸軍は、若い人に軍の生活を疑似体験してもらうことを目的として、無料のパソコンゲームを独自に開発してから、今年で2年目を迎えた。このゲームは、人気が高いばかりでなく、軍のプロモーションツールとしても非常に効果的であることが明らかになってきた。
「America's Army」プロジェクトのディレクター代理を務めるChris Chambersは、当地で開催されたE3ゲームトレードショーで行われたインタビューの中で、このゲームを体験した後に入隊を希望した者は、他のどのタイプの広告やプロモーションによる勧誘を受けた者よりも、最終的に入隊する率が高いと説明した。
人はゲームで遊ぶことによって視覚空間的な感覚が鍛えられることが、最近の学術研究で明らかになった。このことをベースに考えると、ゲームを好む人は有能な兵士になる可能性が高いという。「ゲームをする人には、視覚の鋭さがある。この鋭さは、ゲームをしない人とは質が違う」とChambersは述べ、「ゲームをする人は、混沌とした環境の中で特定の対象に注意を集中させるのが得意だ。こういった能力は、兵士が経験する多くの状況において重要だ」と説明した。
米軍は、「America's Army」という、現代の戦闘シーンをリアルに再現したPCゲームシリーズを2年前に発表し、圧倒的な注目を集めた。現在、330万人がこのゲームのプレイヤーとして登録しており、これは類似の商業目的のゲームの登録者数をはるかに上回る人数だ。
このゲームは、兵士志願者への情報源となるばかりでなく、一般市民に軍の実生活を垣間見せる役割も果たす。イラクやアフガニスタンでアメリカ兵が危険に直面する今、これは同ゲームの重要な使命になっている。プログラマを代表するChristian Buhlは、同ゲームに登場する全てのシナリオは、実際の戦法を反映して作られていると述べた。典型的な商業目的のゲームにあるような銃を乱発するスタイルを好むプレイヤーは、すぐに降参することになる。
「(このゲームは)実際の戦闘のルールを適用している。味方を撃ったり、一般市民に危害を加えた場合には、投獄されてゲームオーバーになる」(Buhl)
米軍は、このゲームのアップデートやアドオンを定期的に発表しており、最近の題材は現在の戦闘経験を大いに反映している。今後発表されるアドオンは、兵士の訓練ツールとして実際に使われる可能性もある。アドオンの新しい題材の1つとして、イラクで頻繁に使われている爆弾廃棄ロボットのシミュレータがあり、これは一般にも公開される見通しだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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