業界標準化団体のDVD Forumは、次世代DVDフォーマットにMicrosoftのビデオ圧縮技術を含めることを仮決定した。これにより、同社のデジタルメディア分野での取り組みが大きく前進することになる。
DVD Forum運営委員会は27日(米国時間)、再生機器用のHD DVD(High-Definition DVD)ビデオ規格の必須技術として、MicrosoftのVC-9と、H.264およびMPEG-2を仮承認したと発表した。VC-9は、Windows Media Video 9の内部で使用されているビデオデコード技術の参照名。この承認には、60日以内にライセンス条項を更新するなど、いくつかの条件がついている。
またDVD Forum運営委員会は、HD DVD記録型ディスク仕様のほぼ最終版となるバージョンも承認した。
この仮決定で、「これまで数カ月にわたってMicrosoftが支持されるかどうかについて憶測が飛び交っていた状況が、ようやく終わることになる。Microsoftにとっては素晴らしい追い風だ」と、Envisioneering Group社長のRichard Dohertyは述べている。
DVDの標準への採用を受け、自社のマルチメディア技術をインターネット以外にも進出させようというMicrosoftの野心は、大いに活気づくことになるだろう。またパソコン分野以外のパートナー企業にコーデックを販売する際にも、同社の信頼性が実質的に高まる可能性がある。
Microsoftは昨年9月、Windows Media 9 Seriesを米映画テレビ技術者協会(Society of Motion Picture and Television Engineers:SMPTE)の標準候補として提出した。これは長年、自社技術をプロプライエタリとしてきた同社にとっては、初めての大きな方針変更だった。
この提出によって、MicrosoftはMPEG-2の後継候補となり得る有力な技術を送り出すことになった。MPEG-2は衛星放送やケーブルテレビ、ビデオ編集システム、DVDの基礎となっている圧縮技術だ。もしMicrosoftの技術が承認されれば、セットトップボックスからプロ用ビデオ編集機器、衛星通信、家電まで、幅広い分野での自社の技術がデファクトスタンダードになると、同社では期待している。
HD DVDは青色レーザー技術を利用しており、赤色レーザーを用いる通常のDVDよりも多くの情報を光学ディスクに書き込める特徴がある。HD DVDフォーマットは高解像度DVDや高密度DVDとも呼ばれ、記録型ディスクは20Gバイト、読み取り専用ディスクは片面単層で15Gバイト、2層で30Gバイトの容量がある。一方、赤色レーザードライブで読み取り可能な現行のDVDの容量は、単層で4.7Gバイト、2層で8.5Gバイトとなっている。
DVD Forum運営委員会はこれまでに、読み取り専用ディスクに関する仕様に限って、ほぼ最終版となるバージョンを承認していた。なお、NECと東芝は、このHD DVDフォーマットを支持している。
DVD Forumから支持は得ているものの、HD DVDフォーマットはいわゆるBlu-ray陣営との深刻な競争に直面している。同技術を支持しているのは、ソニー、Hewlett-Packard(HP)、Dellをはじめとする業界大手各社で構成されるグループだ。加えて、中国も独自に次世代DVD技術を開発している。
このように、さまざまなフォーマットが乱立する状況は、かつての「VHS対ベータ」戦争を彷彿とさせるもので、どのフォーマットが市場を支配するかは、今後の進展にかかっている。
この記事は海外CNET Networks発の ニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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