「国内シェア40%を目指す」--松下、40年ぶりの次世代乾電池を発表

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年01月28日 20時16分

 松下電器産業は1月28日、アルカリ電池よりも高性能な新しい乾電池、オキシライド乾電池を4月1日に発売すると発表した。アルカリ乾電池と形状は同じで、互換性を保っている。国内における筒型の汎用一次乾電池としては、1964年のアルカリ乾電池の発売以来40年ぶりの新製品となるという。

  デジタルカメラやポータブルオーディオプレーヤーなど、機器の高性能化と小型化に伴い、より高性能な電池が求められている。松下電器産業 ナショナルマーケティング本部 本部長の佐藤嘉信氏によると、乾電池の総需要が落ち込む中でもアルカリ電池の需要は伸びており、年間では1人あたり平均13個購入されているという。特にデジタルカメラではズームやフラッシュなど電力を消費する機会が増えていることから、より大電流な電池へのニーズが高いとしている。

松下電池工業 専務取締役 一次電池社社長の梶川陽二氏

  オキシライド乾電池はアルカリ乾電池に比べ、耐用時間を約1.5倍に高めた。維持電圧が高く、長時間使用しても電圧が下がらないといった特徴がある。松下電器が行った実験によれば、オキシライド乾電池を使用した場合、アルカリ電池に比べてデジタルカメラの撮影枚数が約2倍となったという。

  松下電器では、材料を改良することで性能を向上させた。材料の黒鉛を微細化して増量することで導電性を高めたほか、圧力の変化を利用した高注液システムにより電解液の増量も実現した。さらに新たな材料としてオキシ水酸化ニッケルを採用。オキシライドという名称も、オキシ水酸化ニッケルの英語名「Oxy Nickel Hydroxide」の一部を組み合わせたものだ。

  松下電池工業 専務取締役 一次電池社社長の梶川陽二氏によると、微細化した材料を電池に充てんするには、特殊な生産技術が必要という。「材料の成分は分析すれば分かるかもしれないが、生産技術はブラックボックス化している」(梶川氏)。松下としてはこの製造設備に約10億円の投資を行ったという。また、オキシライド乾電池の研究開発にもここ10年間で約10億円を費やしたとしている。

現行のアルカリ乾電池(上)と新製品のオキシライド乾電池

  松下電器は、オキシライド乾電池の発売により、特に高電流を必要とするデジタルカメラなどの機器での利用を狙う。こういった分野では充電式の二次電池の採用が進んでいるが、購入してすぐ利用できる一次電池の利便性を生かし、巻き返しを狙う。なお、2002年にデジタルカメラ用の一次電池として発売したニッケルマンガン電池は、今後オキシライド乾電池に代わることから販売を終了する。

  国内における松下電器の乾電池のシェアは現在30%強としているが、これを3年後には40%台にする考え。さらに、一次電池の需要が伸び続けている海外では、「シェアを(20%強から)30%にまで高めたい」(梶川氏)としている。

  乾電池の中でも販売構成比の66%を占める単3形を4月に発売した後、2005年4月に単4形を発売する予定。海外では「順次発売していく」(梶川氏)としているが、具体的な日程は未定という。希望小売価格は2本で360円。生産個数は月産1500万個を目標としている。

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