「デジタルホーム実現に向け、テクノロジー、コネクティビティ(相互接続性)、コンテンツの3つに注力していく」---インテル代表取締役共同社長の吉田和正氏は10月9日、CEATEC JAPAN 2003で講演し、同社の戦略と現状について紹介した。
デジタルホームという言葉は近年多くの家電・PCメーカーが題目として掲げているが、今ひとつイメージが湧かないのが現状だろう。吉田氏によるとデジタルホームとは、全ての機器がデジタル化されたコンテンツを中心にネットワークでつながる世界のことを指しているという。CDの登場以来、デジタルビデオや携帯電話、デジタルカメラ、DVD/HDDレコーダなど、あらゆる機器がデジタル化していると吉田氏は指摘し、この流れはもはや止められないと語る。今後はこれらの機器がネットワークを介してつながり、あらゆる機器から、家の外からでも自由にコンテンツにアクセスできる環境が生まれると吉田氏は予測する。
インテルはこのデジタルホーム実現にむけ、テクノロジー、コネクティビティ、コンテンツという3つの柱を立てているという。吉田氏はインテルの講演でかならず行われる恒例のデモを交えながら、それぞれの取り組みについて紹介した。
インテル代表取締役共同社長、吉田和正氏 | |
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テクノロジーの分野では、4つの取り組みが紹介された。半導体の集積度を高めるプロセス技術、様々な処理を同時並行で行うハイパー・スレッディング・テクノロジー(HTテクノロジ)、外出先でもネットワークにつなげるよう、無線LAN機能を備えたCentrinoなどのモバイルテクノロジー、バックボーンを支えるためのItanium 2やXeonだ。
さらに吉田氏は、インテルのプロセス技術の研究状況とロードマップについても紹介した。現在90nmノードプロセスの量産体制はすでにできているが、研究レベルでは22nmまで扱っているという。今後は2005年に65 nm、2007年に45nm、2009年に32nm、そして2011年には22nmの量産体制を整えていく予定だという。
コネクティビティに関しては、機器間の相互接続性を目指すデジタルホームワーキンググループ(DHWG)の取り組みが紹介された。DHWGでは2004年3月までにガイドラインを作成するとしており、「機器を接続するだけで自動的にネットワークを認識してつながるような製品が来年の今頃には出てくるのではないか」(吉田氏)と期待を寄せた。
コンテンツについては、ビジネスモデルやエコシステムの確立と著作権保護技術が課題だと吉田氏は語る。そのため、インテルでは同社投資事業部門であるインテルキャピタルを通じて、有望な企業に投資を行ったり、共同マーケティングをすることで市場を広げていくという。著作権保護に関しても、日立製作所、東芝、松下電器産業、ソニー、インテルの5社が共同で開発したDTCPという著作権保護技術を紹介し、インテルの取り組みを強調した。
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