元ライブドア社長の堀江貴文氏が証券取引法違反などに問われたライブドア事件で、4月26日、最高裁は堀江氏の上告を棄却する決定を下した。これによって堀江氏は未決勾留期間40日を含めた2年6カ月の実刑判決が確定する。判決を受けた堀江氏は、自由報道協会主催の記者会見に出席し、「これまでの主張は変わらない。これからも獄中から(メールマガジンや書籍などで)発信していきたい」と語った。
堀江氏は、ライブドア社長時代の2007年に粉飾決算の罪で強制捜査を受け、(旧)証券取引法違反などで起訴された。その後は1審、2審ともに有罪判決を受けており、最高裁に上告していた。「長い最高裁判例違反などの上告理由を送ったが、最高裁では全く触れられず、量刑不当や事実誤認は上告理由にあたらないと軽く却下された」と堀江氏は言う。
判決に関して堀江氏は、「特にスピード審理だった」という2審の有罪判決が「ショックだった」と語るが、最高裁に関しては「やっとひとつのプロセスが進んだ。割とすっきりとしている。人生ゲームのコマが1コマ進んだ感じ」とコメントする。
堀江氏は「1カ月程度」で収監される見込みで、今後は現在発行しているメールマガジンを継続し、書籍などで「獄中から発信していきたい」と話す。メールマガジンに関しては「多くの情報をできるだけ、今までと変わらないぐらいの分量で出していきたい」としている。そのほか、「読書をするなどして一生懸命勉強して、帰ってきたら皆さんの役に立てるようにしたい」との考えだ。
会見で堀江氏は、「三権分立から事実上独立している」検察に対する批判とともに、「日本の司法制度の根底は江戸時代のお白州」であり、お上の裁きという根底をまず変える必要があり、「理想の司法の形を国民全体で考えなければいけないと思う」と指摘する。
また強制捜査時の経験から、弁護士を必ず同席させる、ICレコーダーを持ち歩くといった対応も「弁護士会などが啓蒙していく必要がある」と指摘。「任意(の取り調べ)が一番怖いので、そうした場合の対策も進めてほしい」と訴える。また、職員の少ない検察庁から「独自捜査権限を剥奪した方がいい」と述べ、証券取引等監視委員会や公正取引委員会などの専門性の高い組織を強化していく方向性を提案している。
ライブドア事件では、実刑判決やライブドアの上場廃止など、他の企業の同様の事例と比べても「異例」の厳しい結果となっている。その結果、堀江氏はM&Aの減少、コンプライアンス強化のための多額の費用負担による利益減少、それに伴う税収の減少、株式市場の低迷、海外からの投資の先細りなどの悪影響が出たことで「日本経済がダメになった」と強調。ITベンチャーの起業が少なくなり、少しの問題で「徹底的に叩いて潰す」ような社会に「日本がなりかけている」と警鐘を鳴らす。「東証、検察、裁判所は日本経済をダメにした責任がある。反省してもらいたい」と指弾している。
堀江氏は、出所後は今まで裁判があって自由にできなかった部分もあったため、これまで続けてきた宇宙開発ビジネスを含めて海外とのビジネスも展開したい考え。「失われた8年間を取り戻そうと思っている」と話しており、「人類の未来を見据えていろんな活動をしていきたい」と意気込んでいる。
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