TSUBAME2.0の計算ノードは、並列計算用の「Thin計算ノード」(1408ノード)、大容量メモリを用意した一部アプリケーション向けの「Medium計算ノード」(24ノード)と「Fat計算ノード」(10ノード)で構成。主に使われることになるのはThin計算ノードで、こちらには最新のFermiアーキテクチャGPUを採用したNVIDIAの「Tesla M2050」を搭載した。このThin計算ノードは新規に開発したもので、日本HPより9月ころ製品化される予定だ。
Linpackベンチマークはスパコンの性能の一面を示しているに過ぎず、システム全体の性能指標として適切ではないという指摘は以前から根強い。最も有名なスパコンランキング「TOP500」で採用されていることもあり、報道などではLinpackスコアによる順位ばかりが強調されがちだが、開発を主導した東工大教授の松岡聡氏(学術国際情報センター)は、「Linpackは重視していない。実アプリケーションで他のスパコンより性能が出ればいい」と述べる。
そのために、設計で重視したのが高帯域なバンド幅(メモリ、ネットワーク、I/O等)の確保だ。これが低いと3次元FFT解析などでの効率が悪化することがあり、TSUBAME2.0では1.0に比べ、ピーク性能が30倍になったのに対し、メモリバンド幅は40倍以上となっている。こういった工夫により、「(TOP500で世界1位の)Jaguarは気象コードで50テラフロップスしか出ていないが、TSUBAME2.0では2〜3倍の性能が出せる」とし、実アプリでの性能に自信を見せた。
また、TSUBAME2.0では電力効率も重視しており、「グリーンスパコン」を目指した。TSUBAME1.0と同等の消費電力で30倍のピーク性能を実現したほか、PUE(電力効率の指標の1つ)も1.28に向上。「日本のスパコンセンターとしてはトップの値を達成した」(松岡氏)という。これは、GPUの採用による高効率化、最先端の冷却システムの活用などによって実現したものだ。
同日、北海道大学、国立情報学研究所と協力し、将来のスパコンの省エネルギー化に向けた取り組みを開始することも明らかにされた。実証実験は来年度にも開始される予定で、得られた成果をさらに4年後の「TSUBAME3.0」に反映する意向だ。
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