グーグルは9月17日、「YouTube」におけるゲーム実況動画に特化したアプリと、 ウェブサイト「YouTube Gaming」の日本版を提供することを発表。またその機能のひとつとして、Androidスマートフォンから直接YouTubeでのライブ配信が可能となる新機能を開発中であることも明らかにした。
YouTube Gamingはゲーム関連の動画だけではなくライブ配信の情報も集約したサービスとして、米国や英国にて8月からサービスを開始。非英語圏では最初に日本でサービスを提供するという。その狙いを米GoogleでYouTubeゲーム事業の責任者を務めるライアン・ワイアット氏が語った。
同氏によれば「YouTubeのなかでゲームに関連したコンテンツが爆発的に伸びている」という。視聴時間ベースでのYouTubeにおけるトップ100チャンネルのうち、約50ほどがゲームチャンネル。視聴者は数億人で視聴時間は1年当たり数百億時間、前年比76%の増加とますます伸びていくものと見ているという。
日本のYouTubeにおけるゲーム関連コンテンツの増大も目覚ましいものがあり、視聴時間ベースで前年比60%増であると明かした。日本で最も視聴されているチャンネルトップ10のうち6つがゲームチャンネルになっていることからも、日本におけるゲームの注目度が高いことがわかるという。
こうした状況は数多くのクリエイターによって支えられているとも語った。日本でもHIKAKIN氏やマックスむらい氏ら人気のあるクリエイターが活躍。ゲームの枠を超えたところまで活動の場を広げたり、YouTubeを介してつながったゲーム以外のクリエイターとコラボレーションしたりと、YouTubeがプラットフォームとしても力強いものがあると説明する。
ワイアット氏は、日本のクリエイターコミュニティが成長しているのと同時に、単純に動画制作と投稿だけではなく、一歩踏み出して起業家精神を持ってクリエイティブなことに挑んでいる状況が生まれていると語る。こういった情熱をグローバルプラットフォームのYouTubeを掛け合わせることによって、世界ナンバーワンのYouTuberとして知られているスウェーデンのPewDiePie氏に匹敵する人材が、日本から出現する可能性もあるとした。
日本のゲームシーンにおいても、YouTubeにおけるクリエイターが与える影響力は大きいとしている。特に「マインクラフト」の成長は、HIKAKIN氏や赤髪のとも氏の動画が大きく寄与したというレポートもあるという。YouTube自体がすでに大きなエコシステムになっているとし、ゲーミングコミュニティに対してもさらに施策を打っていきたいという。
そのなかでも特に力を入れていくポイントとして、ライブ配信機能の追加を挙げた。「ミッションは幅広い人たちがブロードキャストをして、それをシェアしてもらうこと。誰もがさまざまなデバイスで容易にライブ配信ができるような機能の拡張を行っている」という。
この狙いから、新たにAndroidスマートフォンから直接YouTubeでのライブ配信が可能となる機能も開発していることを明かした。新たなソフトウェアのダウンロードやハードウェアのプラグインなどは必要とせず、端末のカメラ機能や音声機能を活用してライブ配信ができるようになるという。
またゲーム実況動画やライブ配信に特化したYouTube Gamingについても、日本におけるゲームの重要性は非常に高く認識していることから、非英語圏で最初にリリースするという。日本向けのサービス開始時期や細かい仕様などはまだ未定だが、好きなクリエイターが投稿したときに通知される機能や、個人に特化したレコメンデーションを導入。ゲームに最適化したサーチ機能もあり、自分好みの動画を見つけやすいとしている。
日本におけるゲーム実況動画はニコニコ動画が大きな存在となっており、またAmazonが買収したゲーム専門ライブ配信サイトのTwitchも存在感を増している。これについてワイアット氏は「ゲームは細分化が進んでいると考えており、そのような状況下で独自の強みと言えるのは、全てを網羅してひとつにまとめている“ワンストップショッピング”というべきことが可能になっている。これが差別化のポイント」という。
またeスポーツもゲームのコンテンツカテゴリとしても大きな成長を示しているなか、日本でもトーナメントオーガナイザーが立ち上がるようなことがあればサポートしたいとし、今回のライブ配信プラットフォームのリリースがサポートに向けた大きなステップになるのではと語った。
「日本における最高のゲーム体験を作っていくためにクリエイターとパブリッシャー、そして本当にゲームを好きな人たちと密に連携していく」(ワイアット氏)
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