スマホ×モノで実現する“カジュアル”なIoT--計量カップ、プリンタ、VRゴーグル

神谷憲司(WHITE代表・スパイスボックス執行役員)2015年06月30日 07時00分

 2015年に入ってから特に、いたるところでIoT(Internet of Things:モノのインターネット)という言葉を耳にするようになった。

 IDC Japanが2月に発表した「国内IoT市場2014年の推定と2015年~2019年の予測」によると、国内IoT市場は2019年には16兆4221億円に達するとされている。その中でもデバイスのしめる割合がそのほとんどだ。2015年でも10兆円を超えるとされており、IoTデバイスやスマートデバイスのニュースを聞かない日がないこともうなずける。


IDC Japan「国内IoT(Internet of Things)市場予測」

スマホ×モノで実現するカジュアルなIoT

 時流に乗って大手メーカーやハードウェアスタートアップから次々と高機能なデバイスが発表されているが、スマホの通信機能や各種センサ、フィードバック機能をある種“部品”として利用した、カジュアルなIoTデバイスも登場している。

 スマホを使うことで手軽に作れるという制作者側の利点だけでなく、消費者側に立ってみても、値が張るものも少なくないマイコン部分を自分のスマホで代用することで、そのデバイスを安価に手に入れられるという利点がある。

 ここでは、そういったスマホを活用したデバイスの事例をいくつか紹介したい。

スマホを活用して計測やコミュニケーション

◇Integlass

 これは明治大学渡辺研究室が開発した、スマホを利用したスマート計量カップだ。透明なカップにスマホを装着するだけで使える。音声で必要な分量を入力すると、スマホの液晶にボーダーラインが出てくるのでそこにあわせることで計測できる。スマホのセンサによって水平を保てるため、どんな角度でも正確な分量を量ることができる。機能のほとんどをスマホ側で実現しており、透明なカップを用意するだけで良いため、非常に安価に入手できる。

◇コロコロプラグ

 同じく計測用のデバイスとしてはコロコロプラグがある。スマホのイヤホンジャックにコロコロとまわる車輪を付けるだけで、スマホがメジャーに早変わりする。ただ測るだけでなく外部サービスと連携させることで、インテリア検索・購入や宅急便の送料計算がとても簡単になる。


コロコロプラグ

◇Postie

 Postieはメッセージをレシート用紙に印字してくれるスマートプリンタデバイスだ。手書きのメッセージだけでなくスタンプなども送れる。手書きで送ることで送り手の気持ちも伝えることができる。

スマホを活用したエンターテイメントデバイス

◇ダンボッコキッチン

 スマホを活用したエンターテイメントデバイスもプロアマ問わず登場している。ダンボッコキッチンは、ダンボールとスマホでインタラクティブなおままごとが楽しめるデバイスだ。おもちゃにスマホを入れ、その液晶とセンサを活用することで、煮る、焼く、茹でる、切るなどのおままごとを五感で楽しめるようになる。

◇Milbox


ダンボール製VRゴーグル「Milbox」

 最後は筆者が代表を務めるWHITEが提供するダンボール製VRゴーグル「Milbox」だ。ダンボール製のゴーグルにスマホをスロットインして使うことで本格的なVRコンテンツが楽しめる。スマホではVRコンテンツ(360°全天球・立体動画+音で構成)を表示、またスマホのセンサを使って体験者の見る方向や角度にあわせたコンテンツを提供しVR体験を実現させている。

 さらに、スマホのバイブ機能なども利用してフィードバックすることで、VR体験に必要な没入感とフィードバックの双方を簡易式ながら実現している。


スマホのセンサを使って、体験者の見る方向や角度にあわせたコンテンツを提供することでVR体験を実現している。

 このようにスマホ×モノで、誰でも気軽に楽しめるスマートデバイスが増えてきている。機種変更で自宅に眠っている旧式スマホの再利用ニーズなども追い風となり、これから注目を集めるかもしれない。

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