シャープは11月28日、化合物半導体を用い高精細、低消費電力に優れたIGZO(イグゾー)液晶を採用した32インチの液晶ディスプレイ「PN-K321」を発表した。CADや金融、監視コントロールルームなどの業務用途に向け導入を提案していく。発売は2013年2月15日。実勢価格は45万円前後になる。
シャープの執行役員ビジネスソリューション事業推進本部本部長である寺川雅嗣氏は「現在はすべての画面表示性能が高精細化に向かう流れになっており、4K2K時代の幕開けとも言える。一方職場環境では、仕事の成果、効率が強く求められると同時に働く人の快適性、省エネオフィスなど環境意識が高まっている。シャープではこのニーズに低消費電力で高精細というIGZO技術で応えていきたい。IGZOはIn(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、O(酸素)から構成される化合物半導体。今までの半導体ではできなかったことを可能にする」と、IGZO液晶の必要性を話した。
IGZO液晶は高精細化、低消費電力、高性能タッチパネルなどの特徴を持つ液晶パネル。新製品PN-K321は、32インチながら3840×2160ピクセルの解像度を持つ高精細ディスプレイだ。従来の液晶パネルに比べ、パネル上のトランジスタを小型化することにより高開口率化を実現。これによりバックライトを奥行きが必要になる直下型から、薄型化できるエッジ型に変更ができ、本体奥行は約35mmという薄型化に成功した。
入力端子はDisplayPort 1.2を1系統、HDMI 1.4aを2系統装備。いずれも4K2Kの映像信号をケーブル1本で伝送できるため、すっきりとした配線で設置できる。サイズは高さ441mm×幅750mm×奥行き35mmで、重量約7.5kg。本体にはスピーカと3.5mmステレオミニ端子を備える。
シャープでは、4K2Kディスプレイが普及しなかった理由として、外部の専用グラフィックス装置が必要、複雑な信号配線、奥行きの大きいディスプレイの3点を挙げており、加えて4K2Kシステムを導入するには数百万円程度の支出が必要だったことも大きな課題として認識していたとのこと。今回のPN-K321は、高開口率化による薄型化や伝送規格の進化により、4K2Kディスプレイを取り巻く環境が大きく変化したと言う。
画面サイズに32インチを採用したことについては「4K2Kの解像度と画面の一覧性、さらに机の上においてPCモニタ代わりに使っていただけるサイズで一番大きなものを作ろうと思い決定した。今後はこれ以上大きいサイズ、小さいサイズ両方を検討していきたい」としている。また民生用モデルの投入について「もちろん考えていく」とコメントした。
PN-K321は、亀山第2工場で生産されたIGZO液晶パネルを用い、中国の工場で完成品に仕上げる。月産台数は1500台としている。
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