日本マイクロソフトは4月20日、クラウドサービス「Microsoft Office 365」(Office 365)の展開に関する説明会を行った。
Office 365は、現在「Micorosoft Online Services」として展開されている「BPOS(Business Productivity Online Suite)」の後継となる、企業向けパブリッククラウドサービス。メールおよびメッセージングサービスの「Exchange Online」、コラボレーションプラットフォームである「SharePoint Online」、インスタントメッセージングやビデオカンファレンスの機能を提供する「Lync Online」といった各種の機能をサービスとして提供する。従来のBPOSでは提供していなかった機能(ボイスメール、SharePointでのドキュメント検索など)の追加も行われる。現在、パブリックベータプログラムが提供されており、2011年内の正式版提供に向けて開発が進められている。
同社インフォメーションワーカービジネス本部ビジネスオンラインサービスグループ部長の磯貝直之氏は、Office 365の提供するメリットとして「サーバをオンプレミスで用意する必要がなく、容易に生産性を向上できる」「どこからでもアクセスできる」「堅牢なセキュリティ」「管理性の高さ」を挙げる。
加えて、「Office 365の一番の強み」(磯貝氏)とするのが、クライアントのOfficeアプリケーションと統一された「使い慣れた操作性」となる。既にWindows Liveで提供されているウェブ版のOfficeアプリケーションである「Office Web Apps」のほか、Office 365の上位のプランでは、クライアントにインストールして利用する「Office Professional Plus」のソフトウェアライセンスも提供される。各種の作業は使い慣れたOfficeアプリケーションで行いつつ、データの保存や共有をシームレスにインターネット上で行うといった運用がOffice 365の導入のみで可能になる。
Office 365では、利用規模に応じて、小規模組織やSOHO(25名以下推奨、最大50名)向けの「for Small Business」、中大規模企業向けの「for Enterprise」、教育機関向けの「for Education」の3つのエディションが用意される。また、それぞれのエディションの中で、提供される機能や利用形態に応じて、価格の異なる複数のプランが提供される。
価格は現時点では確定していないが、for Small Businessが1ユーザーあたり月額600円より。for Enterpriseでは、1ユーザー月額1000円~2860円のプランEファミリー、同401円から1000円のプランKファミリーが提供される予定。従来のBPOSと同等のサービスは月額1000円の「プランE1」が相当すると説明しており、「現行の月額1044円に対して、リーズナブルな設定となる」(同社)とする。現行提供しているBPOSからの移行作業は、2012年9月までに完了させる予定だ。
日本マイクロソフト、インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員本部長のRoan Kang氏は、説明会の冒頭、3月に発生した東日本大震災を受けた被災者を見舞い、「個人的な見解だが、現在の厳しい状況に立ち向かっている日本人の真摯な姿に感銘を受けている。(Microsoftの)サービスや製品が、国の復興や支援の一助となることを光栄に思っている」と述べた。
また、「今回の危機で、改めてクラウドサービスの強力さを実感した」とし、実際に数社の顧客が、データをクラウド上のデータセンターで保護できたというエピソードを披露。「クラウドサービスの活用により、不確実な要素の多い時期に、企業継続のためのオペレーションを行え、どこにいても生産性の高い業務ができる。特に東京を拠点にしている企業のこれからのリスクとしては、電力の問題がある。クラウドサービスでは、自宅にいても外にいても、遠隔地にいる人と生産性の高い共同作業ができる。Office 365が、そうした環境の実現に寄与すると信じている」と語った。
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