Amazon.comは米国時間1月4日、「Amazon Appstore Developer Portal」を立ち上げ、開発者に対し、今後登場予定の同社のアプリケーションストアにおけるAndroidアプリケーション販売に向けたアプリの提出を呼びかけている。この動きは、ますます混沌とするAndroidの世界に、全く異質の企業が新たに参入することを示すものだ。
予想されていたとはいえ、「Amazon Appstore」の開始は注目に値する。Amazonは既に膨大な数の登録顧客を抱え、関連商品を推薦する優れた販売促進力を持ち、「Kindle」プログラムを通じて電子書籍の分野に進出して成功を収めるなど、Eコマース部門では長年の実績がある。加えて、競合するアプリ販売サイトとは独自の価格戦略をとっている。Amazon側が顧客向けの販売価格を決める方針なのだ。
Amazonの規模を考えると、「AppBrain」「MobiHand」「SlideME」「AndSpot」「GetJar」といったGoogleの公式Android Marketに対抗する小規模なアプリケーションストアよりも、開発者にとっては検討に値する勢力になりそうだ。
そしてもちろん、Amazonのストア参入は、開発者にとってAndroidのさらなる複雑化を意味している。
第1に、GoogleはAndroidの各バージョンに対し、新しいプログラミングインターフェースおよび機能をコンスタントに追加している。第2に、ハードウェアメーカーもキーボード、検索エンジン、ホーム画面インターフェースなどで独自のソフトウェアを追加しているケースが多い。第3に、機種ごとにハードウェア仕様が大きく異なる。この点に関しては、画面サイズや処理能力をはじめ、物理キーボードかタッチスクリーンか、記憶媒体が内蔵されているか交換可能か、さらにはボタンのレイアウトやオプションなどの相違点が挙げられる。
新しいアプリケーションストアが複数登場すれば、ソフトウェア配布は別の意味でさらに複雑になる。プログラマーは自分のソフトウェアをさまざまな機種でテストするだけでなく、どのアプリケーションストアで販売するのかを選ぶ必要に迫られる。Adobe Systemsの「InMarket」が一例だが、アプリケーションストアとのやりとりにかかる手間を軽減する仲介サービスでビジネスチャンスをうかがう動きが出てくるのも当然と言えるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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