サンフランシスコで開催中の「RSA Conference 2008」。2日目午後の基調講演に登場したのは、VeriSign創業者兼会長で、日本ベリサインの代表取締役会長を務めるJames Bidzos氏だ。
ネット利用の変化を端的に示す「Generation V(Virtual)」。調査会社Gartnerが提唱した用語で、現実世界をネット世界に置き換えることに何ら恐れを抱かない人々を指す。文化・社会・ビジネスに深い影響を与える人々だとGartnerはいう。
Generation Vは、性差や年齢、収入の多寡は問題にせず、ノートPCやiPhoneなどの様々なデバイスを使って、常にネットに接続していようとする。「The network is always on」(Bidzos氏)というわけだ。
Bidzos氏はネット利用が変化するにつれて、ネットの世界そのものも変わってきたと指摘する。「我々の世代は、せいぜいが電子メールやオンラインショッピングだった」が、しかしGeneration Vは「ソーシャルネットワークを作っているのだ」。端的な例がYouTubeで、「今のYouTubeの帯域幅は、2000年のインターネット全体の帯域幅とほぼ同じ」(同氏)だという。
こうしたネット世界の変化を受け、Bidzos氏は、強く、しかも簡潔なセキュリティが重要だと訴える。
Bidzos氏によると、VeriSignは一度この問題に直面して、これを解決したことがあるという。それはエンタープライズ環境においてだ。ファイアウォールに囲まれたネット世界。インターネット関連技術を用いて、イントラネットの中だけで完結する世界だ。
エンタープライズは「予算を正当化することができる。(IDを)一元管理することもできる」環境といえる。
このイントラネットレベルの信頼を、インターネットのスケールにまで拡張できるのだろうか。
Bidzos氏はインターネットスケールのIDソリューションが必要だと訴える。使いやすく、大量のユーザーの利用にも耐え、そして低コストで提供される、中心化されていないWebサービスが必要だと言う。
こうした問題意識はVeriSignだけでなくIT業界共通の認識でもある。これまでにもLiberty Alliance、OpenIDなど、よりセキュアな、より便利なユーザー認証に関わる試みが続けられてきた。
Bidzos氏はこれらの試みを踏まえた上で、オープンスタンダードで、セキュリティだけでなくスケーラビリティ、リライアビリティを備えた、ユーザーが使いやすいサービスが必要だと語る。そしてもちろん、信頼できる第3者が担保する信用も付加されなければならないとも言う。
「信頼できる第3者」=「Trusted Third-Party」が必要だと語っているのだ。
VeriSignは1995年の創立以来、Transaction──「通信」という意味でも「取引」という意味においても──を保護するためのサービスを逐次、開発・提供してきた。1998年から2007年にかけておよそ50社を買収し、拡大路線を突き進んでいた。
しかし昨年11月、これまでの拡大路線から3つのコア事業に集中することを発表した。
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