Microsoftが次期バージョンのWindowsに搭載する新しいパッチ技術により、適用時に求められる再起動の回数が減り、またPCが再起動される前にユーザーのデータを保存するようになる。
「Freeze Dry」(開発コード名)というこの技術は、Windows Vistaに搭載される新しいリスタートマネージャを利用すると、Microsoft関係者が米国時間2日に声明のなかで明らかにした。同社によると、アプリケーションのインストール時やアップデート時にも、Windows Vistaでは多くの場合、再起動の必要がなくなるという。
また、なかには使用中にパッチを適用できるアプリケーションも出てくる。「アプリケーションが次に起動された際に、Windows Vistaが自動的にファイルを差し替える」(Microsoft)。これまで「Longhorn」という開発コード名で呼ばれていたVistaは来年中に登場することになっている。
パッチを適用すると、アプリケーションの再起動が必要になる場合があるが、この際にユーザーデータを保護するため、Windows Vistaでは、まずユーザーのデータを保存してからアプリケーションを終了し、その後パッチを適用した後、アプリケーションを再起動することが可能だという。「その結果、ユーザーが作業を中断してアップデートをする必要がほとんどなくなる」(同社)
この改善されたパッチ技術は、多くのユーザーにとって有用だが、とくにIT部門がマシンにパッチやアップデートを自動的にインストールする企業の環境で役に立つと思われる。現在は、これらのマシン上でドキュメントを開いたまま保存せずにいると、システムが自動的にアップデートされた場合にデータを失うおそれがある。
調査会社Gartnerのバイスプレジデント、John Pescatoreは、「こうした機能は長い間話題にされてきた。Windowsは、新バージョンが登場するたびに起動時間が短縮され、パッチを簡単に適用できるようになっているが、しかしすべてが実現されたわけではなかった」と述べている。
MicrosoftがVistaにこの新しいパッチ技術を搭載することに成功すれば、ほぼ理想的な仕組みが実現されるとPescatoreはいう。「究極のゴールはパッチを全自動化することだ」(Pescatore)。こうした仕組みが実現できれば、IT部門のスタッフは企業ネットワーク上にあるどのPCにもボタン1つでパッチを適用でき、しかもシステムを再起動する必要もなく、ユーザーの手を煩わすこともなくなる。
「PCにパッチを適用しても再起動する必要がないというのは大きなメリットだ。ユーザーはこうした機能を長らく求めていた」(Pescatore)
Microsoftは、数年前からWindowsを含む各種製品でパッチ適用プロセスの改善を進めてきた。同社は6月、企業向けパッチツールとMicrosoft Updateを刷新している。後者はWindows Updateサービスの後継となる期待の技術だ。
Microsoft Updateは、Windows Updateとは異なり、Windowsを含む多数の製品のパッチを提供する。そのため、ユーザーはMicrooftの複数のウェブサイトを訪れて製品毎に最新のパッチを確認する必要がない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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