ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上で展開されるソーシャルアプリは、ゲーム性よりもソーシャル性が大事と言われる。しかし、SNSのプラットフォームは既存のオンラインゲーム事業者にとっても魅力的な市場であるようだ。
12月10日に開催された一般社団法人ブロードバンド推進協議会主催のセミナー「ネットコミュニティがもたらすパラダイムシフト」では、mixiアプリ「ブラウザ三国志 for mixi」の開発を手がけるONE-UP代表取締役の椎葉忠志氏が、オンラインゲーム事業者から見たソーシャルアプリの可能性などについて語った。
椎葉氏はテクモやゲームオンでゲーム開発やサービス運営に携わった経験を持つ。Windows用のオンライン同時多数参加型ロールプレイングゲーム(MMORPG)「RED STONE」では、月額課金のタイトルにアイテム課金を組み合わせてヒットさせたという。
ブラウザ三国志はAQインタラクティブから委託を受け、プロデュースから企画開発、運営までを請け負っている。2008年11月に開発を始め、2009年7月にローンチした。mixi版のほか、ベクターやGamepotなどで配信している一般版がある。いずれもブラウザから遊べるオンラインゲームで、三国志の武将を使いながら自分の陣地を広げていくというものだ。
「ドイツのブラウザゲーム『トラビアン』をヒントに作っている。もっとマネタイズができると考え、『プロ野球 ファミスタオンライン』のように武将をカードにしてコレクションしながらほかのユーザーと対戦できるようにした」(椎葉氏)
「ソーシャルアプリとして意識せず、単独のオンラインゲームでどれだけできるかということで開発した」とのことで、開発費も「ニンテンドーDS用ソフトくらいの費用をかけた」という本格的なオンラインゲームとなっている。
システムにはクラウドサービスのAmazon EC2を採用。仮想化されたサーバをウェブ操作で開設できるため、日々のサーバ増加ニーズにも柔軟に対応できたという。「ピーク時には2日に1回はサーバを増やさないといけない状態だった。リアルのサーバを使っていたら間に合わなかっただろう」(椎葉氏)。遅延速度は180ミリ秒程度とのことで、ブラウザゲームとしては問題ないレベルとのことだ。
既存のオンラインゲームとソーシャルアプリの違いについては、ユーザーが友人を招待する機能と、ユーザーの活動がほかのユーザーに通知されるアクティビティフィードの存在を挙げる。特に、友人を招待した人に特典を付与する機能は、これまでのオンラインゲームではやりにくかったと椎葉氏は言う。
オンラインゲームの場合、ユーザーがIDを複数取りやすいという性質がある。友人紹介キャンペーンをしても、ユーザーが複数アカウントを作ってしまい「自作自演」をする可能性がある。「大きな報奨をつげるほど自作自演をしてしまうので、『招待された友人がレベル20までいったら』というようにハードルを付けざるを得ない。しかし、普通のユーザーはその時点で招待をする気がなくなってしまう」(椎葉氏)
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