IPTVフォーラムが示す「将来の放送連携サービス」--CEATEC JAPAN 2009から

 千葉県幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2009」では、一般社団法人IPTVフォーラムによる特設展示ブースが公開されている。テーマは「テレビをネットにつなごう」。すでに実施されているサービスの概要や視聴するための環境の紹介のほか、将来の展開が見込まれるIPTVについてもサービスイメージが示された。

 IPTVとは、品質の管理された通信回線を用いて専用の対応端末向けに映像などのコンテンツを提供するサービスで、インターネット上における一般的な動画配信とは一線を画す。代表的なサービス例としてアクトビラの「アクトビラ」、NTTぷららの「ひかりTV」、KDDIの「ひかりone TV」などがあり、内容はストリーミング、ダウンロード、IPマルチキャスト、IP再送信の4種類がある。

 IPTVフォーラムは通信事業者、家電メーカー、放送事業者など15社によって2008年5月に設立。理事長は慶應義塾大学教授の村井純氏で、IPTVサービスの仕様策定や技術の普及活動などに取り組んでいる。

  • IPTVフォーラムの展示ブース

 今回の展示においては、基本的にテレビを受信端末とする運用を想定しており、利用にあたってはテレビ(あるいはテレビに外部接続する専用STB)へのLANケーブル接続が必要とされていた。なお、無線LANによる接続については、テレビ側にインターフェースが標準搭載されていないことや、コンテンツ品質管理の観点などから進んでいない。

 特に目を引いたのは、NHKと在京キー局、WOWOWの協力による「将来の放送連携サービス」。現在、NHKオンデマンドで展開されている「見逃し対応」などをIPTV上で実施するサービスで、かねてよりIPTVのキラーコンテンツと期待されるもののひとつだ。サービスへの誘導やポータル画面にデータ放送を用いている点も大きな特徴で、放送局側が情報を強制表示してサービスへの誘導をかけることも可能という。

 展示では、サンプルとはいえテレビ朝日「相棒」やフジテレビ「爆笑レッドカーペット」といった人気番組が配信され、実現に向けて各放送局が力を入れ始めている様子がうかがえた。IPTVフォーラムが策定中の技術仕様は完成に近づいているものとみられ、システム的には実施間近とも目されるが、一方でビジネス面での検討や権利問題といった従来の課題は残されており、時期については明言されていない。

 また、現在実施中のサービスも含め「テレビへのLANケーブル接続」は依然、大きな課題となっている。今回の展示のテーマも「テレビをネットにつなごう」としているが、具体的な方法論などについては検討材料に含まれておらず、「魅力的なサービス提供を通じて、利用者が積極的につないでくれることを期待している」(ブース説明員)のが現状だ。

 将来、IPTVは誰もが使うサービスとなるのか、それとも一部の人にだけ利用されるサービスとなるのか。前者になるめどがつかなければ、放送局に最後の一歩を踏み出させるのは難しいだろう。

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