「Google Book Search」訴訟の和解案に反対する複数のグループは米国時間9月8日、懸念を概説する要約を法廷に提出した。この日は、こうした文書が受理される最終期限だった。
予想されたとおり、Microsoft、電子フロンティア財団(EFF)、および反対派の企業や組織が結成した団体「Open Book Alliance」(OBA)の弁護団は、和解案が競争抑止的で消費者に不利益だとして激しく非難した。OBAの要約は、Google Book Searchの和解案が、John Rockefeller氏のStandard Oilと鉄道業界によるカルテルの現代版になぞらえている。このカルテルは後に、シャーマン反トラスト法の制定につながった)。
Googleは、書籍出版社や著者から絶版書籍をデジタル化する権利を得るため、この和解案の最終承認の獲得に努めている。2009年10月に、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所でDenny Chin判事が和解案への賛否両論を検討することになっているため、同判事に審理前の資料が大量に届けられた。
1990年代に競争阻害行為によるMicrosoftの起訴に協力したGary Reback氏が、今回のOBAの要約を執筆した。「Googleと原告の出版各社が29カ月間、ひそかに交渉を行い、デジタル書籍配信の独占に影響され強化された水平的価格協定を生み出した。この策略はデジタル書籍配信分野から多くを排除し、有効な競争を遠ざけることでGoogleを守ってきた」
この問題ではReback氏と同じ側に立つことになったMicrosoftは、提出文書の中で、Googleは著作権で保護された書籍のスキャンの許可を集団訴訟の和解案で得るべきではなかったと主張した。同社は文書の中でこう述べた。「提案されている和解案は、(権利侵害の主張を解決するという)著作権訴訟の正当な役割よりはるかに行き過ぎており、(訴訟に)参加していない著作権所有者の権利と救済のあり方を世界中で作り変えてしまう規定を数多く強要している」
Googleは、書籍をデジタル化したい事業者は誰でも、和解案の一環で設置されたBooks Rights Registryと契約を結べると主張している。だが現時点で、絶版になったがまだ著作権法で保護されている書籍をスキャンして表示するライセンスを持つのは、世界中でGoogleだけだ。GoogleはGoogle Book Searchで、こうした書籍を一部表示する計画だ(Googleにどの程度の表示を許すかについては、権利者が指定できる)。Googleはまた、公共図書館の端末や、大学や学術図書館に販売される機関購読を通じて、書籍へのアクセス手段を提供する。
コンピュータ情報産業協会(CCIA)は、Googleが示した和解案を支持する文書を裁判所に提出した。CCIAのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)であるEd Black氏は、声明の中でこう述べた。「過去20年、私は独占との戦いにキャリアをささげてきたが、この和解案は独占ではない。この和解案は、オンライン書籍販売の競争、書籍自体の競争を強化するだろう」
Googleは2009年9月第1週の週末にまたがる話し合いで、欧州の著作者らと出版社に話し合いの席を提供することで合意した。しかし、EFFとアメリカ自由人権協会(ACLU)、一部の著作者を含むグループは、Googleのこの意向に疑いを抱いている。
EFFのプレスリリースの中で、作家のJonathan Lethem氏はこう述べた。「Google Book Searchなどのデジタル書籍プロジェクトは、読書や研究のあり方を定義し直すことになる。今こそ、Google Book Searchが物質的な書籍の世界と同じくらいプライベートな状態に保たれることを確認するべきだ」
Googleは9月3日、「Google Books」のプライバシーポリシーをアップデートした。もっと詳細なものをと促されたことを受けてのものだが、複数のグループはまだ十分でないと考えている。Googleは、和解案が承認されサービスを全面的に立ち上げたら、Google Booksのプライバシーポリシーの完全版を発表すると述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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