英国の裁判所は、Googleは情報へのアクセスを容易にしているだけで直接的な発行者ではないと述べ、同社に検索結果に含まれる誹謗中傷情報の責任をとる義務はないとの裁定を下した。
高等法院のDavid Eady判事は英国時間7月16日、通信教育会社のMetropolitan International SchoolsがGoogle UKと米国のGoogle本社を相手取って起こした訴訟で、判決を言い渡した。Metropolitan International Schoolsは、同社のクラスの1つを「詐欺」と呼んだDigital Trendsフォーラム上の書き込みは名誉毀損であり、そのフォーラムの一部を検索結果に表示したGoogleには法的責任がある、と主張していた。
しかし、Eady判事は、この訴訟における第3の被告であるGoogleは名誉毀損情報への経路に過ぎず、同社自体は情報の発行者ではない、と判断した。
「ユーザーの検索に応じて情報の一部が画面上に表示されたとき、それはウェブ上のどこかにある、多かれ少なかれユーザーが入力した検索語に対応する記載情報にユーザーを導く。それにアクセスするかどうかは、ユーザーの意思に委ねられている。Googleは検索語の作成に何らかかわっていないということに留意するのは、根本的に重要なことである。Googleは、情報の断片がユーザーの画面に表示されることを、何らかの意味のある形で認可したわけではないし、それを引き起こしているわけでもない。Googleは、検索サービスの提供によって、情報の断片の表示を容易にする役割を担っているに過ぎないのだ」
さらに、Eady判事は現実世界における例えとして、カードカタログ編集者の例を挙げた。
学者が自身の研究テーマの参考文献を調べたいと思ったとき、おそらく彼は図書カタログを参照するだろう。その際、彼は関連性のありそうな本が図書館の一室にあることに気づき、その本の中身を利用できるかどうかを確かめるために、その場所に向かうかもしれない。こうした場合、カタログの編集者に、それらの本の中身について責任を負わせるのは、あまり現実的ではない。
検索結果に関する法的責任というのは、複雑な領域である。検索結果は、人々について悪い印象を与える情報や、異論のある情報を明らかにするほか、企業が自社の商標使用を管理するのを困難にする可能性もある。さらに、個人や組織が公にしたくない情報を白日の下にさらすこともある。しかし、中国のように検索結果が修正されている事例においては、検索エンジンは、重要な情報を選別して排除しているとして非難を浴びている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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