ブロードバンド回線の高速化や、高性能PCの低価格化などにより、動画をインターネットで視聴するのは一般的になった。そして、自社サイトでテレビCMや動画を使った商品説明などを配信する企業も増えている。
動画コンテンツをユーザーに確実に届けるためには、コンテンツを安定して配信する技術が欠かせない。そういったサービスを提供する企業の1つとして、注目されている企業の1つがライムライト・ネットワークス・ジャパンだ。同社代表取締役社長の塚本信二氏が11月11日に開催されたカンファレンス「CNET Japan Innovation Conference 2008〜いよいよ本格化する動画ビジネス最前線〜」で講演し、配信事業者から見た動画ビジネスの注意点について語った。
ライムライト・ネットワークス・ジャパンの親会社にあたる米Limelight Networksは2001年に創業した、コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)事業者。世界各地にキャッシュサーバを配置し、大容量コンテンツをスムーズに配信できるようにしている。
同社が創業した時期は、インターネットが普及し、送受信されるファイルの容量が拡大してきたころだ。このため、塚本氏はLimelightを「大容量通信のために生まれた会社」と表現する。つまり、大規模なファイルがインターネット上でやりとりされることを前提に、システムが組まれているというのだ。
Limelight Networksは全世界で20以上の国と地域で展開しており、1500社以上の顧客を持つ。日本では2007年7月から営業を開始し、トヨタ自動車や日産自動車、任天堂、ショウタイムなどが同社のサービスを利用している。
ライムライトの調査によれば、日本でも米国でも、90%以上のユーザーがインターネットを使って動画を見ると回答しているという。ただし、動画配信サービスや動画共有サービスは収益化が課題になっており、「今いる視聴者をいかに逃がさず、形にしてくかを世界中の企業が考えている」と塚本氏は話す。
さらに塚本氏は、「新聞やテレビ、雑誌、ラジオなどと異なり、インターネットは唯一、ストレスを抱えながら利用している人がいる媒体だ」と話す。例えば新聞や雑誌であれば、紙面を開けばすぐに文章や写真が見られる。テレビやラジオは、電源ボタンを押せばすぐに視聴できる。これに対し、インターネットユーザーはコンテンツの表示速度や通信の安定性などで不満を抱えているというのだ。
ライムライトがマクロミルと共同で1000人のインターネットユーザー調査したところ、75%のユーザーが動画閲覧時において、表示速度に不満を感じているという。さらに、約6割のユーザーは、そういったストレスはサイト側に原因があると考えているという。さらに半数以上のユーザーは、インターネットサービスの利用時に不満があると、利用意向やアクセス意向に影響があると回答しており、サービスへのロイヤリティに影響が出ると塚本氏は分析する。
こうしたことから、塚本氏は成功する動画コンテンツの条件として、
の4つが必要だと話す。そして、ライムライトはシステムの安定性や配信コストの面で、動画サービス事業者を支えていくという。
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