2005年からサービスを開始し、現在の動画共有サービス人気の礎を築いたといっても過言ではない「YouTube」。2006年にGoogleの傘下となった同社は、どのようにビジネス展開を進めているのだろうか。
グーグル YouTube営業部長の牧野友衛氏は、11月11日に開催されたシーネットネットワークスジャパン主催のイベント「CNET Japan Innovation Conference2008〜いよいよ本格化する動画ビジネス最前線」(CJIC 2008)にて「YouTubeにおける事業の方向性」と題して講演した。
牧野氏によるとYouTubeは現在、世界23カ国でサービスを展開。世界中で毎月2億8000万ユーザーが利用しているという。視聴数は1日数億回にのぼり、アップロードされる動画は1分間で13時間以上という巨大サイトに成長した。日本版のサービスは2007年6月に開始したが、米国に次ぐユーザー数を誇るという。
そんなYouTubeではクリエーター/パートナー、広告主、ユーザーという3つのパートにわけて施策を行っている。
まず放送局や映画制作会社、さらには象徴や学術機関といったコンテンツ制作者とは、パートナーシップ契約を結び、プロモーション用のブランドチャネルを提供。また、パートナーが映画の予告編映像などをYouTube上で公開する際は広告枠を用意して、広告のレベニューシェアを行っている。
パートナーの動画をグローバル展開するための機能として、8月には字幕表示機能を追加。さらに11月には120言語に対応する字幕の自動翻訳機能もベータ版として提供を開始した。また動画の視聴動向を分析可能なツール「YouTubeインサイト」も3月から提供している。
牧野氏は「ブランドチャネルを用意することで世界のマーケットやターゲットにリーチできるだけでなく、広告をレベニュー(シェア)している。企業だけでなく一般のクリエーターに対してもパートナープログラムを展開しており、広告のレベニューで1億円以上収益を得たパートナーも存在する」と語る。
広告主に対しては「広いターゲットにリーチし、ユーザーを邪魔せず効果的な広告の開発」(牧野氏)を進めているという。その結果として生まれたのが「インビデオ広告」だ。これは動画下部にオーバーレイする形で広告が表示されるというもので、広告をクリックした際のみ、視聴中の動画を一時停止し、広告動画を再生するというものだ。
また、特設チャネルを使ったスポンサーシッププログラムの提供を積極的に進めている。これまで海外のみで提供されていたが、国内でもトヨタ自動車がスポンサードする「YouTube Live!」の提供を開始している。
そしてユーザーだけではなく、パートナー、広告主ともに最も気になるのが、著作権管理に対する取り組みではないだろうか。サービス開始当初のYouTubeでは、著作権上問題のあるファイルがアップロードされるケースが相次ぎ、権利者らが声明を発表する、もしくは訴訟に踏み切るといったこともあった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス