Psystarの「Open Computer」をめぐる著作権侵害訴訟で、AppleとPsystarは、裁判所の仲介による和解に向けて手続きを進めることで合意した。
Mac Observerは、Apple対Psystarの訴訟に関して、2008年10月上旬の法廷文書を入手し、両社ともに裁判外紛争処理(ADR)手続きに参加することに同意したと報じた。覚えている人もいるだろうが、Appleは2008年7月、「Mac OS X」がプリインストールされた低価格のOpen Computerを売り出したPsystarを、著作権侵害で提訴していた。Psystarはその後、独占禁止法違反でAppleを反訴した。
周知のようにADRは、高額の費用がかかる法廷闘争を回避するだけでなく、結果を非公開にしておくことができる。この「非公開」というのは、Appleが好きな言葉の1つだ。筆者は、カリフォルニア州北部地区米連邦地裁のウェブサイトから当該の文書(PDF版)をダウンロードした。それによると、AppleとPsystarは、拘束力のない仲裁、早期中立者評価、および調停の3段階からなるADR手続きを取ることに同意したという。両社は、米国時間2009年1月31日を期限として話し合いを進めることで合意した。
AppleとPsystarがどういう意図でこの手続きを選択したのか、正確にはわからない。もしAppleがこの訴訟で負けて、PsystarがMac OS Xを搭載したOpen Computerの販売継続が許可されるなら、結果を非公開にしておくかどうかは大した問題ではなくなる。というのも、Open Computerが引き続き売られることがすべてを物語るからだ。逆に、PsystarがMac OS搭載のOpen Computerの販売停止を強要されても、われわれは同様に結果を知ることになる。
Psystarは、Appleに対する訴訟でシリコンバレーの大手法律事務所を代理人に雇ったものの、代理を立てるために使える潤沢な資金を持っていたようには見えない。したがって、Psystarが費用をそれほどかけずにこの法廷紛争を解決できる方法に興味を抱いた、ということは十分にあり得る。特に、Appleに分があるとすればなおさらだ。
一方のAppleは、Psystarに対して、単にパーソナルコンピュータ市場全般というよりはむしろMac OS搭載コンピュータ市場に関連するものだという独占禁止法違反の主張を、公の法廷で立証するチャンスを与えたくない、ということも大いにあり得る。公開の裁判でPsystarに独占禁止法違反の主張を許した場合、Appleは、「iTunes」および「iPhone」に関して現在直面している他の独占禁止法違反訴訟で不利になる可能性があった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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