Appleは米国時間10月16日、iTunes Storeで販売したテレビ番組がエピソード数にして2億本に達したと発表した。大きな数字のように思えるかもしれないが、番組を提供するテレビネットワークが見込める金額でいうと、まだ比較的少ないと言えるのかもしれない。
Appleはまた、CBS、Fox、ABC、NBCの4大放送ネットワークすべてについて、iTunes Storeで高精細度のテレビ番組を提供することと、9月の立ち上げ以来、高精細度のテレビ番組をエピソード数にして100万本販売したことを発表した。
2億エピソードという数字から、Silicon Alley InsiderのPeter Kafka氏は次のように計算している。Appleは3年間でエピソード数2億本を売り上げた。各番組が「iTunes」標準の1.99ドルで売れて、ネットワークが70%を取ったとすると、ネットワークの取り分は2億8000万ドルほどになる。つまり、テレビネットワーク側に入るのは年間で総額約9300万ドルという計算になる。
NBCは、iTunes Storeのビデオ販売の40%を占めていると話していた。すると売り上げはざっと3600万ドルだ。しかし、ここで計算が疑わしくなる。この金額は、NBC Universalの最高経営責任者(CEO)であるJeff Zucker氏が、iTunesから得ていると話した1500万ドルの2倍を超えている。もちろん、Zucker氏がその話をしたのは1年前、価格で揉めて、NBCのコンテンツをiTunesから引き上げた直後のことだ。
これはつまり、NBCのコンテンツがなかったこの1年、iTunesでの販売が飛躍的に増大していたということなのかもしれない。「iPhone」の登場で売り上げが急上昇した可能性がある。それはわれわれにはわからないが、とにかく実際には、最良のシナリオに沿っていた場合でも、全体で見るとこれらの数字はたいしたものではないということだ。Television Bureau of Advertising(TVB)は8月、放送の広告売上の総額は第2四半期で110億ドル強だったと報告した。
繰り返そう。第2四半期だけで110億ドルだ。
しかしこれは、iTunesが今後もビデオの重要な販売場所にならないということなのだろうか? そうではない。今回の数字は、放送や「Hulu」のようなサイトで無料で見られるコンテンツと同じでも、モバイル向けにはお金を払うことをいとわない人がかなりいることを示している。
Yankee GroupのアナリストJosh Martin氏は、「(モバイル向けビデオの)消費は、放送と置き代わるのではなく、放送を補う」のだと言う。「これは、消費者に多様な形態でメディアを消費する用意があることを示している。コンテンツの所有者は選択の自由を提供することが重要だ。いまもなおリニアブロードキャストが金の卵を産むガチョウなのだが、放送ネットワークが売り上げを得て消費者を喜ばせる機会はほかにもある」と、Martin氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス