Googleの新しいブラウザ「Google Chrome」のオートサジェスト機能には、ただユーザーに(インターネット上の)訪問先をサポート通知する以上のことが関係している。Googleにとっては、人々がインターネット上で、検索以外にも何を行っているのか、豊富な情報入手の機会となるのだ。
ユーザーがChromeのオートサジェスト機能をオンにし、デフォルトの検索プロバイダーにGoogleを指定しておくと、Googleは、たとえユーザーが実際に入力URLのサイトへ移動しなくても、ブラウザの「Omnibox」に入力された、あらゆる情報を取得することが可能になる。
その上、Googleは、サジェストを提供した後も、いくらかのデータは保持しておく意図を明確にしている。あるGoogleの関係者は、CNET Newsに対して、こうしたデータの約2%を、データが入力されたコンピュータのインターネットプロトコルアドレスとともに保存する予定であると語った。
これは理論的には、あるサイトのアドレスを入力すると、たとえ実際には入力URLのサイトへジャンプしなかったとしても、Googleのサーバ上には、消し去ることができない情報を残すことを意味している。
しかしながら、Chromeを使いつつも、こうしたことが起きないようにする方法も明らかにされている。オートサジェスト機能をオフにするならば、Googleは、このような情報を入手したり、保存したりすることはできなくなる。また、検索クエリがGoogleによって保存されることのないように、Google以外の検索プロバイダーを、デフォルトに設定することもできる(Chromeを「Incognito」ブラウジングモードに移行させれば、オートサジェスト機能はオフになるとも、このGoogleの関係者は述べている)。
とはいえ、こうした個人レベルの話を超えて、そもそもGoogleは、こうした全情報を総合することによって、実のところ何が行えるのだろうかという疑問も浮かび上がる。すでにGoogleによって、どれほどのウェブ検索履歴がデータ収集されているのかを考えると、さらなる懸念が生じるに足る十分の根拠があると指摘する人々も少なくない。これは、Chromeの使用許諾契約書(EULA)によって生じる、別の懸念に加えて、起きている問題である。
Googleが、このデータを用いて、さらなるウェブ検索の改良を目指す新手法を見出したと仮定するならば、Microsoftにとっては、これまで以上に、かなり追い上げが苦しくなりそうだ。
筆者が以前にも指摘したように、Chromeの脅威は、Microsoftにとっては、単にInternet Explorerの存在を脅かす以上のものである。Windowsの開発チームに対して、急いで革新的な開発を行うようにと圧力をかけることになり得るし、「Live Search」の開発チームにとっても、より一層の困難を意味するものとなる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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