米連邦裁判所、著作権所有者は「公正使用」を考慮すべきとの判断

文:Stephanie Condon(CNET News.com) 翻訳校正:緒方亮、福岡洋一2008年08月22日 13時20分

 ペンシルベニア州の母親がUniversal Musicを訴えた裁判で、米連邦裁判所は米国時間8月20日、「公正使用」の考え方を重視し、この女性に救いの手を差しのべた。

 Stephanie Lenz氏の赤ちゃんがPrinceの曲にあわせて踊る30秒足らずの動画をUniversalがYouTubeに削除させたのは、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の濫用だとLenz氏は主張していた。Universalは却下を求めていたが、判事はこれを認めなかった。

 この種のものとしては最初となる判断(PDF)のなかで、Jeremy Fogel判事は、著作権の所有者はDMCAに基づいて削除を要求する際に、公正使用を考慮しなければならないと述べている。

 「公正使用は法律の認める著作権利用だ。したがって、著作権所有者が『訴える素材利用が、著作権の所有者、代理人そして法律によって認められていないという誠実な信念』をもってDMCAの下で訴訟手続きをとるためには、素材が著作権の公正使用かどうかを評価しなければならない」(上記PDFファイル)

 Universalが動画の掲載中止を要求し、YouTubeが1カ月以上にわたって動画をサイトから外したことから、Lenz氏は2007年10月に最初の訴訟を起こした。Princeの曲は短い動画のなかでかろうじて聴き取れるというもので、明らかに公正使用にあたり、著作権で保護されている素材でも許可を得ずに限定的に利用することが許されている、とLenz氏は主張している。合衆国憲法修正第1条で保障された権利を守るため、DMCAは正当でない削除要求の対象となった者が、著作権所有者に損害賠償を請求することを認めている。

 この訴えは最初、2008年4月に連邦裁判所から却下されたが、電子フロンティア財団(EFF)がLenz氏の代理として、そのわずか10日後に2度目の訴えを起こした。

 EFFの弁護士であるCorynne McSherry氏は裁判所の判断について、「インターネットにおける言論の自由と公正使用にとって大勝利」と評し、「ウェブでコンテンツを制作するすべての人の保護につながる」と述べている

 Fogel判事は再度の却下は拒否したものの、Lenz氏の勝利の可能性については疑念を表明した。「Universalに主観的な不誠実さがあったことをLenz氏が証明できるか、裁判所は相当の疑問を抱いている」と同判事は書いている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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