Googleは、ハリウッドの領域にも進出しようとする勢いを見せてはいるが、あるスタジオ経営陣の話では、YouTubeを所有するGoogleの狙いは、当面は短編物に絞られているようだ。
筆者は米国時間7月23日、Googleが、海賊版の動画を検出したり、動画内に広告を埋め込んだりする技術を開発し、著作権者に対して、よりYouTubeを魅力的なものにしようと努めている点に関して、娯楽産業界も、かなり良い印象を抱いていると伝えた。コンテンツの獲得交渉において、これまでGoogleは、短編物の配信権に焦点を絞ってきたと、あるトップスタジオのマネージャーは語る。
筆者は2007年に、ユーザーがノーカット版の映画やテレビ番組を視聴できるよう、YouTubeにプレミアム映画チャンネルを立ち上げるべきだと論じた。月間7000万人を超える利用者を抱えているYouTubeは、もし現在のYouTubeでの提供動画よりも高いクオリティで動画配信が行えるならば、たちまち強力なメディアに成長することは間違いないだろう。
だが、YouTubeやGoogleのエグゼクティブは、ハリウッドスタジオのエグゼクティブに対して、「われわれはメディア企業になるつもりはない」とのメッセージを伝えた。
Googleは、過去に「Google Video」の長編動画で苦い思いをした経験があると、Googleとの交渉に参加した、あるスタジオのエグゼクティブは述べている。
覚えているかもしれないが、Google Videoは、当初はYouTubeへの対抗サービスとして立ち上げられた。
2006年当時と現在で大きく異なっている点の1つに、Google Videoは、ノーカット版の長編動画コンテンツの販売やレンタルを手がけていたことが挙げられる。
CNET Newsの親会社であるCBSやNBA、他の独立系の映画製作者たちが、コンテンツのダウンロード提供を行った。しかしながら、ひどい動画クオリティと、ダウンロードに長大な時間を要することなどが原因で、このサービスは成功しなかった。そのまま日の目を見ることなく、Googleは、2007年8月に同サービスを中止した。
とはいえ、動画配信技術は、当時と比較して改善されており、NBC UniversalとNews Corpが共同で運営する動画ポータルサイトの「Hulu」などのサイトが、人気のあるノーカット版の長編テレビ番組や映画をそろえて、多くの視聴者を獲得するようになっている。
ハリウッド関係者の中には、Googleが方針を変更するように願っている人もいると、あるテレビネットワークのマネージャーは明らかにしている。
このエグゼクティブは「短編物から、Googleはスタートを切りたいのだと思う。だが、Huluは、テレビ番組や映画をPC向けに配信する市場の可能性を示すものとなった。YouTubeは、もうまったく長編動画の配信に興味がないと結論づけるのは早計である」と語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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