グローバルオンライン自由法、米政府の反対で廃案の可能性も

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2008年06月02日 15時34分

 CNET News.comは先週、不当な「インターネット規制」を行っているとされる中国などで事業展開しているハイテク企業に対し広範な規制を課す法案にBush政権が反対していると伝えた。

 このBush政権の反対により、同法案が廃案となる可能性が強まった。この法案は、共和党下院議員のChris Smith氏が作成し、ジャーナリストや人権団体の支持を得ていた。

 米司法省は連邦議会に、Global Online Freedom Act(グローバルオンライン自由法)と呼ばれる同法案に反対する書簡を送付している。同法案の重要部分の1つは、米国企業が「インターネット規制」国家内に顧客データが入ったサーバを設置することを制限する規定だ。

 司法省は、下院外交委員会の委員長を務めるHoward Berman下院議員に宛てた書簡の中で、次のような点を指摘している。

  • 同法案では、「平和的、政治的、宗教的、イデオロギー的意見または信条」に関するインターネットへの書き込みを規制している国々について述べられている。しかし、これは多くの西欧諸国に当てはまる。これらの国々では、政府が虚偽とみなした、ホロコーストに関する平和的、政治的発言を行うと犯罪となる(ネオナチ支持者のErnst Zundel氏はこれにより、現在ドイツで5年の懲役刑に服している)。
  • 諸外国が、米国への報復として、米捜査当局の情報提供要請に協力しなくなる可能性がある。この点について、司法省の書簡には次のように書かれている。「これは、『サイバー避難所』の創設という意図せぬ効果をもたらす恐れがある。テロリストやその他の犯罪者らは、データが米国に引き渡されないことを知り、それらの国々を経由してコミュニケーションを図る可能性がある」
  • 米国企業も「二流」国家とみなされることに敏感になっている国々から報復を受ける可能性がある。
  • さらに、米国企業は、2つの相反する法律を同時に遵守するという不可能な状況に陥る可能性がある。「低レベルのデータを扱っている企業ですら(中略)現地の法律と米国法のどちらに従うべきか、という難しい選択を迫られることになる」

 また米国務省も同法案に反対している。以下は同省が送付した書簡からの抜粋。

 H.R. 275、Global Online Freedom Actに反映されている、インターネット上の表現の自由は全世界で守られなければならない、という見解には政府も同意する。しかし、同法案には、インターネット制限国家を分類し、それらの国々で現地政府の方針に従う米国企業への罰則の適用を求める規定が含まれている。これらの規定が実施されれば、米国の外交努力が台無しになる恐れがあり、さらに、そのような国々における米国企業の商業活動に対する不当な介入にもなりかねない。このような理由で、政府は、議会に報告しているとおり、この法案に反対しているのだろう。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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