CNETは米国時間17日午後、ニューヨークのLe Parker Meridienにおいて「Wii Fit」開発陣の中心人物である任天堂の宮本茂氏との独占的なQ&A座談会に出席する機会を得た。宮本氏はプレゼンテーションを取り仕切り、Wii Fitが誕生したいきさつについて詳細に語るとともに、このような野心的なプラットフォームを開発する上で遭遇した困難についても話してくれた。
興味深いことにWii Fitは宮本氏が自分の体重を気にしているうちに着想したという。時間の経過とともに自分の体重をグラフ表示することによって、その変化を視覚的に把握することができた。宮本氏は家族から体型を維持するように言われて、そのために自分のあらゆる体験を踏まえて個人用のゲームを作り出した。その結果、Wii Fitが誕生した。
Wii Fitを他の「トレーニングもやってみると楽しい」的なコンセプトと隔てているものは、プレーヤー個人を中心に置いてゲームを作成している点である。任天堂はこのパーソナライズされた体験によって本来ならビデオゲームなどプレイしないユーザー層を引きつけることができると考えており、われわれも任天堂はいい点を突いていると考えている。Wii Fitを使いやすく実用的かつ手ごろな値段の機器にすることによって、Wii Fitのスケールの上に立つことができるあらゆる人にその魅力を訴えることができる。Wii Fitでは集中的な運動や食事療法と比べて減量のペースはそれほど速くないかもしれないが、Wii Fitのほうがはるかに進歩の状況が把握しやすく、また明らかに楽しい。宮本氏は、Wii Fitによって自分の体に対する意識が高まるが、それが健康改善の第一歩であると説明する。Wii Fitはすでに日本各地のジムに置かれるようになっており、米国でも似たような反響が得られるのではないかとわれわれは想像する。
Wii Fitは日本ではすでに圧倒的な成功を収めており(本稿執筆時点で200万セット以上が売れている)、任天堂では「バランスWiiボード」を北米に輸出する態勢が整っている。Wii Fitは日本ではどちらかというと家族全員で楽しめるゲームとして旋風を巻き起こしているが、宮本氏は米国の消費者がこのゲームをどのように受け止めるかわからないと述べている。米国の消費者に何を期待しているかと尋ねると宮本氏は、平均的に見て米国の家庭は日本よりも離ればなれになっている場合が多いと述べた。米国では両親が別居または離婚している家庭が多いので、消費者のWii Fitに対する反応において家族というものがどのような役割を果たすのかを予測するのは日本と比べて困難だろう。そしてわれわれもそれに全く同意せざるを得ない。健康改善の取り組みのためにこのゲームを手にとる家庭があるのは確実と思われるが、Wii Fitは個人や一人暮らしのユーザーにも大いに受け入れられるのではないかとわれわれは考える。
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