Googleは、日頃、同社製品を利用している膨大な数の消費者に同社のプライバシー保護対策について説明するためのフォーラムとして、同社のオンラインビデオ共有サイトYouTubeを活用している。
Googleはおよそ2カ月前、YouTube上にPrivacy Channelを開設した。
ただし、これらの解説ビデオは専門家が制作したものではない。このアイデアを考案したGoogleの広報担当マネージャーであるVictoria Grand氏によると、これらビデオは、Googleのエンジニア、製品担当マネージャー、広報担当社員らが携帯型ビデオカメラを使って制作したものだという。
Grand氏によると、Google社員たちがユーザーにプライバシー対策について伝える方法や、そのために最適な媒体を模索した結果、「スケーラブルなプラットフォームであるYouTubeを使えば、われわれのメッセージを世間に届けられる」との結論に至ったという。
それらのビデオは、技術的なテーマを解説する上で効果を発揮している。ビデオを見ると、Google社員たちがカメラの前で分かりやすい言葉で説明し、ホワイトボードを使って各コンセプトを図解している。俳優や弁舌さわやかな「幹部たち」は使わず、出演者はオフィス内、ビーンバッグの上、廊下に何気なく座っているGoogleの社員たちだ。一見、いつもと変わらない職場風景にも見える。
例えば、今週投稿された新着ビデオでは、Blogger、Calendar、Docs、PicasaといったGoogleの特定の製品のプライバシー設定の操作方法や、Google Talkを使って「オフレコで」チャットする方法、さらにGoogleの検索エンジンに自分の電話番号を表示させない方法などが解説されている。
これらのビデオが現時点でどの程度効果を発揮しているか、あるいは将来発揮するかの判断は難しい。Grand氏によると、プライバシーに関する最初のビデオは、掲載後3週間でおよそ5万回再生されたという。「Otters holding hands」というタイトルの手をつないだ2匹のラッコのビデオにはかなわないが、再生回数としては決して少なくない。
コメント欄に寄せられた視聴者の反応はさまざまだ。Googleが一部のより難解なプライバシーのトピックを消費者に説明しようと努め、さらにそれらのビデオをスペイン語やポルトガル語に翻訳するよう要請したことを称賛する意見もあれば、米政府がデータにアクセスしようと思えば、一部のプライバシー保護手段を無効にすることが可能だ、とする皮肉めいた意見もあった。
また、Googleは宣伝目的のビデオを制作しているとの批判に対し、Grand氏はこの取り組みの主たる目的は消費者に情報を伝えることにあると回答した。また、同社はプライバシーポリシーを明確にすることを使命としており、ビデオを使ったこの取り組みもその一環だと付け加えた。
「(ビデオを見れば)Google製品のプライバシー設定をより効果的に利用可能になる」(Grand氏)
現在、オンライン上の検索企業や広告企業は、消費者のプライバシー保護に関して厳しい監視の目にさらされている。その点を考えれば、今回のビデオを使ったキャンペーンはGoogleにとって賢明な手段といえる。
それでも、プライバシー擁護派の間ではビデオの内容が論議を呼ぶ可能性がある。また、Googleは単に説明するだけでなく、消費者のためにプライバシー保護対策をさらに強化する必要があるとの不満の声も聞かれそうだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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